【オンライン座談会】 各種スクリーンリーダーの特徴を知ろう!(後編)

いろいろ種類も多いスクリーンリーダー、どう選べばいいの?
そんな疑問にお答えするために東京・大阪・名古屋等で視覚障害当事者の就労支援やサポート業務に従事されている方々が集結! PC-Talker、JAWS、NVDAといった代表的なスクリーンリーダーについて、その特徴や使い方、選定する場合の留意点など、現場での経験を踏まえた本音トークを展開しました。

※ この記事は、2021年9月5日に開催した「第2回タートルICTサロン」のパネルディスカッションの一部をWeb公開用に編集したものです。
※ 本記事の内容は、パネリストの方々がユーザーの立場で、あくまで個人的な見解をお話しいただいているものであり、メーカーや開発元の公式見解ではないことに、ご留意ください。

【オンライン座談会】 各種スクリーンリーダーの特徴を知ろう!(前編)の続きです。

それぞれのスクリーンリーダーの機能や使い方を比較、その特徴を掘り下げる

伊藤:
一通りスクリーンリーダーの特徴についてご説明いただきましたので、ここからは、それぞれのスクリーンリーダーの使い方を掘り下げながら話を進めていきたいと思います。
まず、PC-Talkerには、独自のメニューがあると思うのですけれど、木村さん、この辺りについて、お話していただけますか?

木村:
Windows 8以降になると、スタートメニューがタイル表示になり、それ以前のWindowsに比べて、少し見える弱視の方や音声ユーザーにとっては、ややこしくなってたんですけど、PC-Talkerを入れることによって、メニューがわかりやすくなります。マイスタートメニューという名前なのですが、とてもソフトが選びやすくなります。
また、マイサポートという機能が付いてまして、こちらから入ることによって、Windowsでの設定、コントロールパネルに直接アクセスしなくても、コントロールパネルで行っていたサウンドとか、システムとか、セキュリティとか、パソコンに対する設定に入っていけますので、初心者の方でも、とてもやりやすいと思います。

伊藤:
私は、NVDAを最初に使い始めたのですけれども、ちょっと試しでPC-Talkerを使用した時に、メニューが変わってしまうことで、かえって戸惑ってしまい、覚えるのが面倒くさくなってしまって、やめてしまったということがありました。PC-Talker Neoになっても、独自のそのスタートメニューは、維持されるということなんでしょうか?

木村:
はい、そうです。マイスタートメニューといいます。Windows XPや、Windows 7と同じような並びのスタートメニューになっていると思います。PC-Talkerをインストールすると、このマイスタートメニューになりますが、操作でWindowsオリジナルのメニューに戻すことも、もちろん可能です。

伊藤:
その辺が、昔のWindowsのメニューに慣れた方や、パソコン初心の方でも、使いやすいように配慮がされているということですね。JAWSに関してお聞きしたいのですが、JAWSは今のような独自のメニューとか、そういうものは、あったりするのでしょうか。星野さん、いかがですか?

星野:
JAWSは、Windowsの独自メニューは無いと思います。ちなみに、PC-Talkerのマイスタートメニュー、先ほどの話ですね。最初は、あまりうまく読めなかったのですが、高知システム開発さんが、ご配慮くださって、PC-Talker以外のスクリーンリーダーでもマイスタートメニューを読めるようになりましたので、私自身は、マイスタートメニューを使わせていただいております。
JAWSに話を戻しますと、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、この4つのアプリのメニューですね。通常リボンメニューといいますけれども、そのままでも使えますけども、JAWSには、仮想メニューという機能があります。
JAWSをインストールして、仮想メニューという設定を選ぶと、PC-TalkerでいうところのKSDオフィスメニュー、古いOffice 2003までのメニューバーの形式のメニュースタイルが、PC-Talkerでは選べると思うんですけども、あれとはちょっと違う、JAWS独自のリボンの構造は、そのまま活かしながら、左右キーと、上下キーで、あたかも古いOffice 2003までのWord、Excelのメニューバーと同じ雰囲気で、リボンのオリジナルの構成を使えます。そういうところが、JAWS独自で、ひとつアプリケーションにカスタマイズされてますね。

伊藤:
ありがとうございます。JAWSには、仮想メニューという機能があるのですね。岡根さん、NVDAは、そういうカスタマイズは、ないですか?

岡根:
NVDAは、逆に、Windowsに素直なことを第一にしてますので、むしろ、Windows 10のアクセシビリティが、いかに良くなったかを感じられるような動作をしてくれます。
例えば、「Windows」キーを押したら、下矢印1回押すとすぐに、「すべてのアプリリスト」と言ってくれて、そこで起動したいアプリのグループに相当する、例えば、Microsoft Edgeを起動したかったら「M」、Wordを起動したかったら「W」を押すと、すぐに一覧のところでパッと飛んで、次に、上下キーで選んで、「Enter」キーを押すだけで起動してくれるという形で、先ほど伊藤さんが言っていたように、マイスタートメニューが有効になってる時では、その機能が働かなくなって、瞬時に起動していたアプリが起動しなくて焦る、ということが起こります。たまに私もPC-Talkerの入ってるパソコンを借りることがあるんですけれども、借りた時に、とまどうところは、そこですね。
Windows 7までと、どうしても同じようなメニューで使いたい人には、高知システム開発さんが作ってるマイスタートメニューというのが救済策になっているんだと思うのですけども、ある程度、慣れてきところでマイスタートメニューはオフにするっていう使い方が良いのかなと、個人的には思っています。そうすることで、Windowsの元々の操作にも慣れていけるのかなと思います。
NVDAで操作する場合、元々あるWindowsの操作なので、例えば、Wordとかだったら「Alt」キーを押すと、タブの名前を最初に読みますので、左右キーで選んで、例えば、「ホーム」タブを選んで、そしたら「Tab」キーを押して、「Ctrl」キーを押しながら、左右キーでグループ選んで、その中は「Tab」キーとか、上下キーとかで選んで、というような感じで、そのままメニューを読めるようにできています。

伊藤:
素直にWindowsやOfficeのショートカットキーを使って操作していくということですね。NVDA単独だとマイスタートメニューというような独自のメニューは存在しませんが、一方で、WordやExcelに関しては、例えば、「無変換」キーと「F7」キーで、シートのリストを出したりとか、そういうのはありますよね。

岡根:
これは、要素リストという名前の機能なんですけれども、どんな要素で、何のボタンがあるとか、そういったものを一覧にして出してくれるので、上下キーで選んで、そこへ移動させる、といったような使い方ができて、すごく便利になっています。
この機能は、Word、Excelは、もちろんのこと、インターネットを見ている時にも、実は使えますので、複雑なWebページで、「このページ、アクセシビリティどうなってんのよ」って、文句を言いたいようなところでも、その機能を使って、うまく上下キーで探せるというようなことで、Webページを使いたい方で、PC-Talkerなり、JAWSなりで、ちょっとお金の問題が、とかいう方で、NVDAを使ってみたら、意外と使えたんで、っていうことで、そのままNVDAユーザーになった、という方もいらっしゃいますね。

伊藤:
ありがとうございます。
ところで、先ほど、それぞれのスクリーンリーダーのご紹介をしていただいた時に、JAWSは、使いたいアプリに合わせてカスタマイズできる、という話がありましたが、JAWSのカスタマイズというのは、どこかにお願いして対応していただけるのでしょうか。

星野:
それは、それを引き受ける有料の業者があれば、やっていただけるかもしれませんが、いわゆるSE作業費的な高い値段になってしまいますね。そのため、どちらかというと、よくJAWSのことを勉強していただいて、自分自身で、そういうカスタマイズとか、チューニングとかができる、JAWSを使いこなすスキルというのも求められてきます。そのため、JAWSを買ったら、その日からできる、ということではないし、逆に、JAWSを買って使っているけども、大してPC-Talkerと変わらないのでは、という印象を持たれる方、もしくは、PC-Talkerの方が良いではないかという方は、多分そういうカスタマイズをしないで、未調整のままJAWSをお使いで、十分JAWSの力が発揮できてないと、そんなこともあると思いますね。
そういう意味では、PC-Talkerとか、NVDAとかは、非常に安定した結果が得られますので、読める範囲で良い、というのであれば、これらは、非常に有効だと思いますね。
JAWSは、非常にデリケートなものですから、少し調整を間違えたり、弱視の方がハイコントラストだとか、アイコンを大きくしたりすると、それだけで読み上げに変化が起きたりとか、それはまたそれで調整すればいいんですけど、調整するのは、そのためのスキルが必要ということになりますね。

伊藤:
JAWSは、高機能だけれども、その分、使いこなすのは難しいという感じですかね。

自分の仕事や環境に合ったスクリーンリーダーを選ぶために知っておきたいポイント

伊藤:
今までのお話で、それぞれのスクリーンリーダーの特徴が理解できてきましたが、これからスクリーンリーダーを導入しようとか、新たに学ぼうとされている方も多いと思うのですけれど、スクリーンリーダーの選定や学び方について、皆さんから何かアドバイスはありますか?

星野:
私が常にパソコンの訓練をしている学生さんとか、職業訓練の方々に申し上げているのは、まずは、PC-Talkerとか、これからだと、NVDAになるかもしれませんが、そうした安定したスクリーンリーダーをひとつ、きちっと習得をした上で、そのスクリーンリーダーが読めない作業に対して、JAWSならカスタマイズすれば読めるよ、もしくは、そのままでも読めるよ、ということであれば、視覚障害者の職域を広げるという意味で、JAWSというのが選択肢に入ってくる、そういうように考えればよいのではないかなと思いますね。

伊藤:
導入としては、PC-Talkerや、NVDAの方が良いということですか?

星野:
最初からJAWSでやっても問題ないですけれども、お金のこともありますので、JAWSは、非常に高価で、毎年これだけのお金を払いきれるのか、という話もありますので、むしろ、他のスクリーンリーダーで十分目的を達成できる作業というものもあると思いますので、変な言い方ですが、そんなところまで何も無駄に高価で無駄に気難しいJAWSを使う必要ないですよね。
むしろ、先ほどNVDAのところで出ました、Windowsのアクセシビリティ機能ですね。ショートカットだとか、そうしたものを、Windowsそのもの、もしくは、Wordとか、Excelのショートカット機能を十分に使いこなすと、そういう意味では、スクリーンリーダーとして、PC-Talker、NVDAで全く問題ないというか、正しく読んでくれますから、まずは、Windowsをキーボードショートカットで、音声読み上げで使えるようになる。その技術というのは、スクリーンリーダーが、例えば、PC-TalkerからNVDAに変わっても、まったく同じように活かせるんですね。
表面的な読み上げコマンドは違いますけれども、Windowsや、Word、Excelのショートカットキー、例えば、範囲選択するとか、クリップボードにコピーするとか、そういうのは、スクリーンリーダーが変わっても同じですので、まずは、一つ目の安定したスクリーンリーダーで、きちっと音声読み上げを聞いて、画面を正確に頭で想像しながら、キーボードショートカットのみで操作をすると。その一つ目としては、私のところでは、PC-Talkerですけれども、今後は、NVDAを一つ目に選ばれるケースもあるかなと思います。

伊藤:
他の皆さんのご意見は、いかがでしょうか?

柳田:
全般的なことを星野さんがおっしゃってくださっておりますので、私は、仕事に使うツールとしてのスクリーンリーダーの選ぶポイントについて、私の考えを話させていただきたいと思います。
まずは、仕事で使うスクリーンリーダーとしては、JAWSが私は最適解だと思っています。仕事というのは、いろんな仕事がありますけれども、私が今、申し上げてる仕事というのは、一般企業ですね、要するに、事務机があって、電話がたくさん並んでいて、というような、オフィスといわれるところ、もしくは、そのオフィスからテレワークをしている環境でもそうなんですけれども、一般企業といわれるようなところで仕事をするという場合には、JAWSが最適解ではないかと私は考えています。
これからその理由をお伝えするのですが、特に会社の業務システムですね、会計経理のシステムであったり、人事のシステムであったり、要するに、Microsoft Officeではない会社の業務システムにおいては、PC-Talkerの読み上げ能力では十分ではない、というところが結構あります。
それから、JAWSの特徴のところで星野さんがおっしゃってくださいましたけれども、一般企業で視覚障害者が働くということは、画面のレイアウトをある程度認識する必要があると私は思っています。具体的にどういうことかといいますと、大きな会社になると、パソコンに困ったということになると、電話をヘルプデスクにかけるんですけれども、その時に「何々ボタンの横にある何々ボタンを押してください」というような指示をされることがあります。ところが、PC-Talkerですと「何々ボタンの横に何々ボタンがある」という、このレイアウト(位置関係)の把握が極めて難しい。
レビューモードというものがあり、できる画面は、できるのですけれども、多くの画面で、それができない状況ということがあります。
これを、JAWSの読み上げの矢印キー、JAWSカーソルといいますが、これを使うと、例えば「OK」、「キャンセル」、「適用」と並んでいると、順番に「OK」ボタン、「キャンセル」ボタン、「適用」ボタンとしゃべりますので、これを把握することができます。
逆の言い方をしますと、仕事では、Office、ブラウザ(インターネット)と、それから、メールしか使わない。この3つしか使わない、ということであれば、PC-Talkerという選択肢を取る、ということもあるかと思いますけれども、特に画面を見ることができない全盲の方が、業務システムを使うということを考えた場合には、JAWSを選ぶのが、私は最適解だと思っています。

岡根:
今の業務システムとか、一般のアプリを使うということについて言うと、やはり私もJAWSは第一候補だと思います。NVDAとJAWSだと、どうなのか、という話なんですけれども、NVDAには、オブジェクトナビゲーションという名前の機能がありまして、これは、JAWSカーソルと似たような感覚なんですけれども、どこの位置に、どんなオブジェクトがある、というのを探せるような機能です。
そういったものを使うと、例えば、「スクロールするには何とかします」とか、いろんなことを少ししゃべってくれるようになりますので、それを使って探して、「適用」ボタン、「閉じる」ボタンとか「キャンセル」ボタン、「OK」ボタンとか、いろんなものを探したりできます。
ただし、業務システムで、全くスクリーンリーダーが歯が立たないようなものを使おうとなると、アドオンというものを独自に作らなければならない、という欠点がありまして、既に出回ってるアドオンでは対応できない場合、Pythonというプログラムができる人が結局作るか、社外に発注する。その場合、それなりのお金は取られるかもしれません。そのまま、素のNVDAで、何から何までできるかというと、ちょっとできないところはあると思ってください。
NVDAで、その代わり読めるようになってるアプリが多いというのは、元々、追加費用なしで、いろいろな国で、いろいろな会社が導入して、アクセシビリティに取り組んでくださっているから使えることが多いと考えていただければと思います。

星野:
JAWSのことになるかもしれませんが、Internet Explorerだと、まあ今後、Edgeだとか、Chromeだと思いますが、そういうブラウザを、普通に、ニュースだとか、時刻表検索だとか、一般にホームページを読むという意味では、PC-Talkerでも読めると思いますけれども、実際に企業だと、クライアントの端末としてブラウザを使うと、でも実際には、ブラウザを使って、社内専用のWebシステムで、例えば、出退勤管理をするとか、交通費精算するとか、ブラウザの中に、はめ込まれる業務システムって、結構あるんですね。そうなってくると、PC-Talkerのブラウザの読み上げの機能では、ちょっと実際には操作できない。読めるけれども「Tab」キーで動かないとか、「Enter」キー押しても実行できないとか、そういうブラウザの中に組み込まれるWebアプリケーションへの対応となると、やはりそこがJAWSの領域かな、と思ったりします。ただ、NVDAのオブジェクトの機能ですね、あれがJAWSのマウスクリックの機能に少し似ているような印象ですので、それで対応できる部分もあると。もちろん、PC-Talkerにも一部限定してマウスを動かす機能がありますけども、少しそんな印象を持ちました。

伊藤:
そうですね。業務で使うスクリーンリーダーとしては、業務用のWebアプリなどへの対応を考えると、JAWSのメリットが大きいのかもしれませんね。一方で、例えば、ExcelやWordがメインという方もいらっしゃると思うんですけれども、ExcelやWordを使うといった場合に、おすすめのスクリーンリーダーとしては、どれが良いか、皆さん、どういう考えかをお聞かせください。

木村:
仕事とか就労に結びついていない方で、パソコン勉強される方、いらっしゃいますよね。そういう方は、PC-Talkerを選ばれるのが良いと思います。と言いますのは、皆さんもおっしゃってたんですが、ユーザーが多く、サポートの会社がしっかりしている。それから、初心者に使いやすいようにできてるっていうことがあると思います。
また、PC-Talkerを学習する機関は多いですしね。関西の場合で言いますと、JAWSを習えるところは、ほとんど皆無なんですね。PC-Talkerだったら、最初の初歩から習えるところもある程度ありますので、そちらの方で学んでいただいて、簡単なソフトでWindowsの構成とか、ファイル操作を知ってもらってから、就労されると思うので、PC-Talkerを入れられてから、JAWSとかNVDAに進まれるのも、一つの方法かなと思います。
Microsoft Officeに関しては、一応、PowerPoint、Word、Excel、ここまでは読むということで作られています。そのためのショートカットキーがとても多くて、作業は早くできるんですけれど、覚えるのが少し大変かなというところもあります。
ただ、PC-Talker Neoには、OfficeWorksというんでしょうか、ExcelとWordとPowerPointを操作するための、特別のプログラムが用意されているので、それを使うことによって、今までよりも使えるようになったと思います。

星野:
今の件、Outlookもサポートされてますね。

木村:
はい、Outlookもサポートされてます。

柳田:
Officeだけを考えて使うのは、どのスクリーンリーダーが良いか、という伊藤さんの質問だったと思うのですけれど、おそらくOfficeのことだけ考えるなら、もっと正確にいますと、Word、Excel、PowerPoint、Outlookといった、PC-Talker対応のOfficeのことだけを考えるのであれば、PC-Talkerが適切というような気がしています。この、気がしているというのは、一つ問題があって、OutlookのHTMLメールを読んだ時に、Outlookのメールの中で、ここをクリックしなければいけないとか、それから、会議に参加するには、ここをクリックしてください、というようなものがあるんですけども、それを読もうと思うと、少しおかしな動きをすることがあるので、そのことを除いてですが。Officeをサクサクと操作するには、PC-Talkerが良いのではないかな、というのが私の結論です。
ただし、Accessには対応してないので、Accessを使おうと思う方は、JAWS一択になるかと思います。

伊藤:
Accessを使うというのは、データベースを使う方ということで、その場合は、もう少し業務システム寄りという感じになるかと思いますね。他の方のご意見はいかがでしょうか。

岡根:
NVDAヘルプデスクで、2年か3年ぐらい前に、NVDAトレーニング講座というのを開催したことがあるのですが、その時に、KSDオフィスメニューに慣れきっている人が、一切の操作をできなかった、ということがあって、コースを分けるべきだった、という反省点が出たんですけど。
PC-Talkerのメニューは、最初、確かにとっつきやすくていいとか、Office 2003とか、Office 2007ぐらいまでのものを使ってた方が、そのまま移行してくるのには、とっても素晴らしい反面、リボンの操作に全く慣れないという欠点がある、というところに、気をつけていただきたいなと思っています。
何故かというと、JAWSとか、他のものに移る時に、操作方法が、当然、PC-Talkerの固有のものに慣れてしまうと、変わった時に戸惑ってしまって、特に仕事で使う場合に、今までと違うことをやるのに手間取ると、「なんだ、あなた仕事できないじゃないですか」というふうに、その場での評価が突然落ちてしまうことがあるので、KSDオフィスメニューが入ったままでも構いませんので、右矢印を押すと「ホーム」とか「挿入」とかタブも読みますので、やっぱりお仕事で使おうと考えられている方は、一度でいいので、きちんとリボンの操作方法をしっかり学んでいただきたいな、ということを付け加えさせていただきます。

伊藤:
Office製品に関しては、PC-Talkerがベストチョイス、というご意見が多いようですが、独自メニューについては、意識して使うことが重要そうですね。また、独自の業務システムや、業務用のWebアプリケーションを使う場合などを考えると、それぞれの方の業務内容や、環境、障害の状況に合わせて、スクリーンリーダーを選んでいくことが重要ですね。
本日は、どうもありがとうございました。

まとめ

今回のオンライン座談会では、パネリストの方々の豊富な経験と知識に基づいて、各種スクリーンリーダーの特徴と、その使い方、選定にあたっての留意点などを、指導者としての経験や日常利用しているユーザーとしての視点でお話していただきました。
この座談会を通じて、代表的なスクリーンリーダーであるPC-Talker、JAWS、NVDA各々に特徴があり、その特徴を理解した上で、ユーザーの業務や職場の環境等に応じて、適切なスクリーンリーダーを選定していくことが、とても重要だと感じました。
座談会の後半では、パネリストの方々から、これからスクリーンリーダーを習得しようとしている方へ向けてのアドバイスもいただきました。スクリーンリーダーの習得には、まず音声による読み上げとショートカットキーを使用してWindowsを操作する基本が重要で、そのスキルの習得のためには、どのスクリーンリーダーでもよいので、最初にしっかりスクリーンリーダーの基本を学んだ方がよいとのことでした。その上で、実際の業務に合わせて他のスクリーンリーダーの導入も検討していくことが必要になるのだと思いました。
これからスクリーンリーダーの選定を予定している方や、業務の状況に合わせて新たに他のスクリーンリーダーの使用をお考えの方は、今回の座談会を是非参考にしていただければと思います。

【オンライン座談会】 各種スクリーンリーダーの特徴を知ろう!(前編)