音声による工夫:文字情報の音声化

視覚障害が出てきた場合、まだ見える場合でも眼を使うと非常に疲れるし、能率が悪くなった、さらに頼れる視力がほとんどなくなってしまったという人は、PCの画面情報や書類の文字情報を音声化して、聴力を使って仕事をすることが可能です。

写真:キーボードの上に置かれたイヤホン

音声によるPC使用

仕事では、やはりPCでの業務が主流でもあり、まずはPCを音声で使えるようにすることを検討します。

スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)をPCにインストールして、その操作方法の訓練を受けることで、PC上のデータが音声で読み上げられるようになり、画面を見ることなく、 読み上げられる音声を聞いて、PCを操作することが可能です。

代表的なスクリーンリーダーとしては、従来から市販されている「PC-Talker」や「JAWS」等があります。また、フリーソフトウェアで、開発・改善が進んでいる「NVDA」も注目されています。

各スクリーンリーダーには、それぞれ特徴があります。
導入する際は、自分の職場のシステムは、どのスクリーンリーダーと相性がよいのか、特に職場独自で構築されたグループウェア等が読み上げ可能かどうかをお試し版等を利用して、事前に検証させてもらうとよいでしょう。

近年では、PC-TalkerとJAWS(またはNVDA)など、複数のスクリーンリーダーを併用して、場面に応じて使い分けているという人も増えているようです。

スクリーンリーダーについては、下記の記事も参考にしてください。
スクリーンリーダーについて

なお、近年のWindows PCに標準装備されているスクリーンリーダーである「ナレーター」も徐々に機能の改善が進んでおり、場面によって使っているという声も耳にします。

Windows標準のアクセシビリティ機能については、下記の記事も参照して下さい。
ナレーター、拡大鏡など -Windows標準のアクセシビリティ機能

書類の文字情報の音声化

ペーパーレス化が進んでいるとはいえ、まだまだ紙の資料が多い職場も少なくありません。
紙の資料を音声で読むには、一般的にOCRソフトをPCにインストールして、複合機等のスキャナと組み合わせて、書類の文字情報をテキストデータにします。テキストデータは、スクリーンリーダーを用いて音声で読むことができます。
OCRソフトは、一般ユーザー向けのソフトもありますが、視覚障害者用に開発されたソフトもあり、これらには専用ソフトならではの使いやすさもあります。

一方、書類の文字情報の音声化は、その精度があまり良くない場合もあります。結果的に作業効率のアップにつながらないケースもあります。
職場においては、会議の資料等をできる限り、電子データで送信してもらうように交渉することも必要になってきます。

【解説】OCR(Optical Character Recognition/Reader)ソフト:
スキャナで読み取った画像を解析し文字を認識してテキストデータに変換するソフトウェア。

助成金・無料貸し出し制度の活用

スクリーンリーダーやOCRソフトは、職場で導入してもらう際に、雇用主に対する助成金や、無料の貸し出し制度があります。

助成金や無料の貸し出し制度については、下記のページを参照して下さい。
視覚障害者の雇用のためのICT環境整備に関する助成制度・支援制度

また、個人で購入する場合は、日常生活用具としての助成を受けられる場合があります。詳細は、お住まいの市区町村の福祉課または福祉事務所に問い合わせてください。