PC画面が、見えない・見えにくい視覚障害者は、さまざまな工夫をしながらPCを操作して仕事をしています。

その方法については、大きく分けて、二つの方法があります。

一つ目は、スクリーンリーダーと言う、PC画面上のテキストを音声で読み上げながら、ショートカットキーなどを使って音声で操作する方法、二つ目の方法は、ロービジョン(弱視)の方が、画面を拡大したり、コントラストや画面の色調の変更、色反転などを使ったりして、その方の見え方や操作方法に合わせて操作する方法です。

また、これら二つの方法を組み合わせている方もいます。タートルICTサポートプロジェクトが2020年12月に実施したアンケート結果からは、ロービジョンの方は、これら二つの方法を組み合わせて使っている方が多いこともわかりました。

こうした視覚障害者のPCの操作方法、スクリーンリーダーを用いたPC操作と、画面拡大と色反転を併用したPC操作の事例が、下記の総務省のページに動画で紹介されています。

総務省 情報バリアフリー環境の整備のページ(外部サイト)

スクリーンリーダーについて

PCを音声で操作するための機能(ソフトウェア)には、OSの基本機能として組み込まれているものと、専用のソフトウェアをインストールして使用するものの2種類があります。

Windows PCで使用出来るスクリーンリーダーとしては、Windowsの基本機能として組み込まれているナレーターと言う機能があります。この機能をオンにすると、画面上のテキストが音声で読み上げられるようになり、音声でのPC操作が可能になります。

また、Windows PCにインストール可能なスクリーンリーダーソフトウェアとしては、オープンソースソフトウェア(無償)のNVDA(Non Visual Desktop Access)、また、有償のソフトウェアとして、JAWS、PC-Talkerがあります。

これらのスクリーンリーダーは、それぞれ特徴があり、また、アプリケーションプログラムとの組み合わせや、バージョン等アップデートの状況によって、音声で対応できる範囲が異なっている場合もあり、実際に業務で使用する環境やアプリケーションによって適切なスクリーンリーダーを選定することが重要です。

このような事情があることから、実際には、多くの視覚障害者は、複数のスクリーンリーダーを併用することで、アプリケーションによって、スクリーンリーダーを切り替えたり、トラブル発生時のリスク回避を行ったりしている場合が多いようです。

下記に、Windows PCで使用出来る代表的なスクリーンリーダーの関連情報リンクを掲載します。

画面拡大、画面の色調変更・色反転について

ロービジョンの方が、PCを使用するときには、画面を拡大したり、画面の色調変更や色反転機能を使用して、それぞれの視覚の状況に応じて画面を見やすいようにしながら使用しています。

Windowsの標準機能には、拡大鏡という機能があり、画面全体、あるいは、画面の一部を拡大して表示することができます。また、視覚に障害のある方にとっては、白い背景に黒い文字の場合は、背景の反射光の影響で文字が見えにくくなることが多いことから、画面の色を反転することで、白い背景に黒い文字の画面を黒い背景に白い文字に変更することもできます。

また、Windowsには、ハイコントラストモードという設定があり、このモードを使用すると、デスクトップの配色をコントラストの高い配色に変更したり、背景色を黒に変更したりすることも可能です。ただし、この機能で背景を黒に設定した場合、このモードを考慮していないWebサイトや文書は、黒背景にしても文字色が元の色のまま残り、かえって読みにくくなったり、読めなくなる場合もあるので注意が必要です。

こうしたWindowsの機能の他に、画面拡大用の専用ソフトをインストールすることも可能です。代表的なソフトウェアとしては、ZoomTextがあります。

これらの機能やソフトウェアの情報は、下記のURLから参照可能です。

スマートフォン・タブレットのアクセシビリティ

スマートフォン、タブレットには、標準で、さまざまなアクセシビリティ機能が組み込まれています。iPhone/iPadには、VoiceOverというスクリーンリーダーが搭載されていますし、画面拡大や色反転、色の調整など、見え方や使い方に合わせてさまざまな調整や使い方をすることが可能です。

また、アンドロイド端末についても、TalkBackというスクリーンリーダーが用意されている他、さまざまなアクセシビリティ機能を使うことができます。 このように、スマートフォン/タブレットは、基本機能としてアクセシビリティが充実している他、視覚障害者にとって便利なアプリも増えてきていることから、個人使用だけでなく、就労場面でもうまく活用することで、業務の効率向上につなげることが可能です。