2026年3月1日【第25回ICTサロン開催報告】視覚障害者が組織内で能力を発揮できる環境とはどういうものか -視覚障害者の就労事例より-

第25回ICTサロンでは、「視覚障害者が組織内で能力を発揮できる環境とはどういうものか」をテーマに、東京大学バリアフリー推進オフィスの中山仁史氏をお迎えし、ご自身の視覚障害当事者としての経験を踏まえたご講演をいただきました。

イベント概要

  • 日時: 2026年3月1日(日)10時00分~12時00分 (Zoomによるオンライン開催)
  • テーマ:視覚障害者が組織内で能力を発揮できる環境とはどういうものか-視覚障害者の就労事例より-
  • 講演者:東京大学バリアフリー推進オフィス
    中山 仁史 氏
  • 略歴:
    1995年 東京大学に就職、教育用計算機センター、情報基盤センター等で主に情報システムの管理・運営に従事
    2017年 東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野(現社会包摂システム分野)近藤研究室にてAccessReadingの事業に従事
    2022年 東京大学バリアフリー支援室(現バリアフリー推進オフィス)にて情報アクセシビリティ部会の業務に従事
    現在、学内の情報アクセシビリティ確保の推進を行っている。
    後天性の視覚障害、ロービジョン。

イベント内容

イベントでは、まず中山氏のご講演が行われ、その後休憩を挟んで参加者からの質問に答える形で質疑応答が実施されました。

ご講演では、ご自身の経験を踏まえ、視覚障害者が職場で能力を発揮するために重要な5つの要素 についてお話がありました。

  1. 事前の職務内容の合意(職務定義):
    採用時に「できること」を中心に業務内容を明確にすることで、ミスマッチを防ぎ、得意分野を共有して周囲の理解を深めることができる。
  2. 支援技術(アシスティブ・テクノロジー)の提供:
    スクリーンリーダーや拡大読書器、タブレット端末など、状況に応じて複数の道具を使い分けられる環境を整えることが必要。
  3. 支援体制の明確化:
    「スタッフ全員で支援する」という方針を共有し、視覚を使わなければならない部分と、使わなくてもできる部分を分割・共有する仕組みを作ることが不可欠。
  4. 同僚の障害者就労・合理的配慮への理解:
    「障害ゆえにできないことがあっても本人の責任ではない」という理解のもと、無理に視覚を使う仕事をさせず、「まずはやってみて、できない場合は柔軟に変更する」という姿勢が重要。
  5. 日々のフレキシブルな仕事の組み換え:
    障害の状態や体調、周囲の状況に合わせて、随時チーム内で仕事の分担を調整し、バランスを保つ柔軟な対応が求められる。

ご講演の後半では、中山氏が所属されている 東京大学バリアフリー推進オフィスの取り組み が紹介されました。

ガイドライン作成、Webアクセシビリティ確認、事務システムのスクリーンリーダー対応など、当事者が自ら課題解決をリードする体制 を構築している点が特に印象的でした。

講演後の質疑応答では、参加者から多くの質問が寄せられ、テーマへの理解をさらに深める有意義な時間となりました。 タートルICTサポートプロジェクトでは、今後も奇数月の第1日曜日に開催するICTサロンで、視覚障害者の就労におけるICT活用と課題解決につながるテーマを取り上げてまいります。また、ICTグループメールでも情報共有を行っています。まだグループメールに参加されていない方は、下記のリンクより参加登録していただき、私たちの活動に是非ご参加下さい。

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