目次

今月の表紙写真
【巻頭言】 理事 大橋 正彦
総会関連
  【2019年通常総会報告】
  【総会議案(資料)】
  【2019年度総会記念講演】 弁護士 大胡田 誠氏
【職場で頑張っています】 会員 金子 元輝
【お知らせコーナー】
【編集後記】
奥付

今月の表紙写真

総会の記念講演のあと、東京交流会にて、司会席の二人。
左側、大胡田誠弁護士と、右側、司会の小原理事。

【巻頭言】

『次なるステップへ』

理事 大橋 正彦(おおはしまさひこ)

この度、理事の大役を拝命いたしました、大橋正彦と申します。初めて私の名前に触れる方もいらっしゃると思いますので、まず、自己紹介をさせていただきます。

私は1962年生まれ、東京都在住、在勤の56歳。40歳の頃、緑内障の診断を受け、現在1級の手帳を所持している中途障害者です。以前は広告、イベントやメディア関係の仕事をしていたのですが、あのリーマンショックに社会が揺れていた頃に、当時の職場に見切りをつけ、転職活動に入った途端に自覚症状が出始め、とんとん拍子で手帳の取得に至り、出口の見えない転職活動を障害者枠に切り替えるといった、少しイレギュラーな経験をいたしました。

その頃は、蓄えも底をつき、家族もいて、お恥ずかしい話、明日どう暮らそうか、訓練に通う電車賃をどうねん出するか等、正直、泣き言を言う余裕すらなかったことを思い出します。当時はまだ手帳も5級で、どうにかごまかしながらアルバイトをしつつ、その上で、就労支援の訓練を受け、再就職活動を行いました。家族の協力を得て、現在の勤務先に就職が決まった時の安堵感を忘れることは無いと思います。

タートルとの出会いは、そんな苦しい訓練中の同期生の紹介でした。実は、タートルに初めて参加した頃は、既に再就職も決まり、一息つけたタイミングだったのですが、皆さんの明るさと活力に触れ、一発でその魅力にはまってしまい今に至ります(笑)。一人ではなく、ネットワークを持つことの心強さは大切な事ですね。

これを読まれている方の中には、現在進行中の深刻な悩みや苦労を抱えていらっしゃる方も沢山いらっしゃると思います。まずはそんな皆さんに、エールを送りつつ、とりあえず一息つけている皆さんに、一つでも多くの経験を、タートルに持ち寄っていただくことをお願いし、理事就任のご挨拶とさせていただきたく思います。

さて、前置きが長くなりましたが、せっかくの機会を頂戴したので、ここからは、今後の抱負を書かせていただこうと思います。

タートルの活動を通じ、広く全国の方々とも交流のチャンスをいただくようになり、どうして東京でサポートされることが地方で制限されてしまうのか、大変疑問に感じています。そして、そんな中、身を挺して頑張っていらっしゃる方々の存在も知りました。「もっとそのような方々と繋がりたい! 私達一人ひとりは微力であっても、繋がり、できることを考え、さらなるタートルのネットワークを育てていくことができれば、何かしらの変化の第一歩になるのではないか」と…。

我々を含め、障害を抱えて暮らし、仕事を続けるとき、何らかの困難がついて回ることは否定できません。もちろん、人それぞれ苦労の度合いも違いますし、個々を比べることはナンセンスだとも思います。それならば、健常者はどうでしょうか?人が社会生活を送る上で、全く何も苦労を感じることなく、何の困難も抱えていないケースなどあるはずがありません。

苦労や困難のレベルも、それを感じ取るパーソナリティも千差万別ではありますが、我々自身が主体的にそれを個性としてとらえていくことはできないでしょうか?社会の多くの人が、何らかの苦労を乗り越える歩みを続けているのに、我々障害者自身がハンディにつまずいて、一歩前に歩くことをあきらめてしまったら、すべての人にあるべき平等な権利を放棄してしまっているような気がします。障害も苦労も全て、乗り越えていくべき課題の一つでしかないと捉え、スーパーポジティブにアクションを起こすことが必要なのではないでしょうか?無理をせず、できることから着実に進む道しるべになり、タートルのネットワークはよりアクティブに機能し始めるはずです。

社会や制度、そしてその現実を嘆くことは簡単です。それ自体が不要だとは思いませんし、立ち止まって考えることも必要ではあります。諸先輩方が積み重ねてこられた努力や実績も、我々が主体的にアクションを起こすことで、それは加速し実現するのだと信じています。是非、さらなる一歩を踏み出すための道しるべ、『タートルのネットワーク』に参加してください!!

このメッセージが一人でも多くの方に届き、日本全国あらゆる地域からのお返事が舞い込むことをお待ちしております。

さぁご一緒に、次なるステップへ踏み出しましょう!!皆さんの踏み出す一歩一歩が、タートルのネットワークに繋がる時、我々の夢は叶うに違いありません。

総会関連

【2019年度通常総会報告】

開催日時:2019(令和元)年6月1日(土)
10:00~12:00
開催場所:東京都新宿区 社会福祉法人日本盲人職能開発センター
議事進行:松尾理事 議長:大橋氏
書記:長谷川理事

審議事項:
第1号議案 2018年度事業報告
第2号議案 2018年収支決算報告
第3号議案 監査報告
第4号議案 2019年度役員選出(案)
第5号議案 2019年度事業計画(案)
第6号議案 2019年度収支予算(案)
第7号議案 平成27年度(2015年度)決算報告 修正について
なお、第1号から3号議案と第5・6号議案は、それぞれ、一括採決

◎第1号議案 2018年度事業報告

松坂理事長より事業について一括報告がなされ、メイン事業である相談活動が2018年度928件と前年度に比較して165件増えていることや、交流事業では女子会などが2回実施され活動の広がりとなったこと、他の事業についても例年通りの活動をしており、事業全体をとおして、計画については、ほぼ順調に済んだと述べた。

◎第2号議案 2018年収支決算報告

芹田理事より決算報告が行われた。

◎第3号議案 監査報告

伊吾田監事より会計監査について、報告に相違なく、収支が適切に処理されていること、下堂薗監事から業務監査について評価、要望がなされた。

◎第1号から3号議案の質疑応答

(1)総括:
活動の総括は成果で示すことの要望がなされ、理事長は了承した。
(2)交流会事業:
事業計画にあがってないイベントへの出展に対する質問があり、重田理事より事業ではなく、協力要請での参加と説明がなされた。また、昨年9月の交流会が理事の都合で第3週から第4週になったと聞き、変更の場合は早めにアナウンスしてほしいとの要望を受け、重田理事より、日時については、講師の方や会場の都合であり、役員の都合で変更することは無いと説明し、理事長より、日程の変更は、ホームページやメーリングリストで早めに告知すると回答した。
(3)相談事業:
国家公務員試験の一連を受けて、視覚障害者の雇用拡大、就労環境の充実への影響に対して、タートルとしての取り組みを望みたいとの意見について、工藤副理事長より、会の原点である当事者同士の交流、情報交換を積極的に行うことで、新たに就労した仲間を巻き込んでいきたいと回答した。
(4)情報提供事業:
フェイスブック、ツイッター、LINEといったSNS活用への検討が提案され、松坂理事長より、活動を広くアピールするため、SNS活用の検討をすることを回答した。
(5)セミナー・啓発事業:
会員によるタートルパンフレットの配布について、視覚障害により職が無くなりそうな人に対して、少しでも情報提供の機会が増えることが大事であるため、取り組みやすさから、交流会やサロンでの配布が提案された。また、企業・団体へのセミナーが開催できなかったことについて、新井副理事長より、意見を集約し、視点を変えて、多面的に検討すると回答した。

◎第4号議案 2019年度役員選出(案)

松坂理事長より、退任と新任の理事および監事について発表があった。
・退任理事 和泉 森太
・新任理事 大橋 正彦 小原 丈夫 六川 真紀
・退任監事 下堂薗 保
・新任監事 杉江 勝憲

◎第4号議案の質疑応答

役員について、晴眼者の増員の意見がなされ、松坂理事長より、本年は晴眼者の杉江氏に監事を引き受けてもらったこと、今後も引き続き、検討すると回答した。

◎第5号議案 2019年度事業計画(案)

松坂理事長より、事業計画の概要について説明があり、11月には認定NPO法人の更新があり、継続に向け、準備を進めていること、タートル発足25周年にあたる2020年には記念誌の刊行を行いたい旨が説明された。
続いて、各事業担当理事より、提案内容の説明がなされた。

◎第6号議案 2019年度収支予算(案)

芹田理事より説明があった。

◎第5・6号議案の質疑応答

(1)交流会・相談事業について
東京以外への拡大について、意見がなされ、重田理事より2019年度予算を交流費に15万を追加計上し、有効活用すること、また、熊懐理事より、前年度、神奈川、千葉で就労相談会を開催し、本年はこの他の地域でも実施したい旨回答した。
また、他地域から、声をあげる新たな人材の育成の必要について、提案があがり、松坂理事長が理事会で検討したいと述べた。
(2)セミナー・啓発事業:
勉強会のテーマ募集について、進捗状況の質問があり、新井副理事長から、実質的なもの、自己啓発など、様々な候補があがっており、整理中と回答した。

◎第7号議案 平成27年度(2015年度)決算報告 修正について

芹田理事より説明があった。

【総会議案】

認定特定非営利活動法人タートル
2019年度通常総会
資料

開催日時:2019年6月1日(土)10時~12時
開催場所:(社福)日本盲人職能開発センター

総会次第

1. 開 会     理事長挨拶
2. 総会成立報告
3. 議長選出
4. 議 事
第1号議案 2018年度事業報告
第2号議案 2018年度収支決算報告
第3号議案 監査報告
第4号議案 2019年度役員選任(案)
第5号議案 2019年度事業計画(案)
第6号議案 2019年度収支予算(案)
第7号議案 平成27年度(2015年度)決算報告修正について
5. その他
6. 閉 会

第1号議案 【2018年度事業報告】

■活動総括
理事長 松坂 治男

各事業部の活動は以下のとおりである。
1.相談事業は、相談者の情報の一元管理を推進するためのデータベース化の作業を進め、本年度は928件(昨年763件)のデータをまとめた。 首都圏以外の相談者にどのようにアプローチしていくかについては残念ながら実施には至らなかった。
その他では、第19回日本ロービジョン学会学術総会(旭川大会)で事例発表。第10回医療が関わる視覚障害者就労支援セミナーへの協力。
2.交流会事業は、タートルサロンを継続し、出会いの場の提供と情報交換を行ってきた。交流会、サロンともに予想以上の参加があり、大盛況であった。女子会は「おしゃべりランチ会」を2回実施できた。
3.情報提供事業では、活動風景の写真をホームページに掲載して、タートルの活動を視覚的にもアピールした。ビデオの掲載には至らなかった。
2016年から実施してきた大学や企業の視覚障害者関連調査・研究に協力した。
情報誌を4回発行し、当事者だけでなく眼科医、関係機関等に配布した。
4.セミナー・啓発事業は、「タートル勉強会」を2回実施した。
2月の勉強会ではジェイリース㈱様の支援を受けて、東京・大阪・福岡をテレビ会議システムで接続して実施できた。
5.視覚障害者との接し方講座を2回実施した。
引き続き日本盲人職能開発センターから場所の提供等、ご支援とご協力をいただいた。

■相談事業 副理事長 工藤 正一
理事 熊懐  敬

1.相談実績
2018年4月から2019年3月までの相談の総合計は、延べ件数928件(前年度763件)、実人数では、349人(前年度293人、実人数349人のうち、初めての人は213人)であった。疾患別では、網膜色素変性症66人、緑内障31人、先天性疾患15人、レーベル病11人、黄斑ジストロフィー8人、網膜剥離5人、糖尿病網膜症5人、錐体ジストロフィー4人等と続いている。
相談方法別の件数(延べ)は、電話294件、メール532件、面談相談102件となっている。面談相談のうち、眼科医など専門家の同席の下に行われるロービジョン就労相談は12回、実人数31人(前年に同じ)に対して実施できた。
2.関連学会・研究機関等への協力
(1)相談の成果は関連学会等を通じて発表し、タートルの存在と役割をアピールした。具体的には、2018年6月、旭川市で開催された第19回日本ロービジョン学会学術総会の一環として行われた第10回医療が関わる視覚障害者就労支援セミナーに協力した。参加者数は32人であった。内訳は、医療従事者をはじめ、訓練・教育・企業関係者、支援団体、当事者など多岐にわたり密度の濃い議論が行われた。
(2)前年に続き、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する、障害者対策総合研究開発事業(感覚器障害分野)「視覚障害者の就労実態を反映した医療・産業・福祉連携による支援マニュアルの開発」研究に協力した(アンケート結果の集計等)。
(3)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センターが実施する「視覚障害者の雇用の実状及びモデル事例の把握に関する調査研究」に協力した(本人の了解を得ての事例情報の提供等)。
3.2018年度の相談の特徴
(1)2018年度中に相談を受けた人の主な顛末・成果は以下の通りである。
継続就労85人、再就職または転職22人、訓練中19人、復職10人、新規就職2人、盲学校等に進学2人、就職活動中30人、休職中6人、離職4人、係争中3人等となっている。
(注)上記は2018年度期末現在における集計速報値である。不詳の人のフォロー等により数値は変わる場合がある。
(2)改正障害者雇用促進法が施行されて3年目、雇用主等への理解が徐々にではあるが浸透しつつある。雇用主から配慮を得ての継続就労や訓練受講は増加傾向にある。
(3)眼科主治医、勤務先産業医、地域障害者職業センター、訓練施設、ジョブコーチ等との連携が功を奏した事例がみられた。
(4)他方、就労は継続しているが、配慮を得られず苦しんでいる人、離職を余儀なくされた人、係争中の人が数名存在するのは誠に残念である。
(5)国家公務員障害者雇用の水増し問題を受けての採用選考試験にともなう相談が目立った(延べ82件)。視覚障害者については、385人の応募に対し、合格者は43人(日盲連調査)という厳しい結果に終わった(タートルで把握している合格者は5人)。今回の採用試験での配慮(点字、拡大読書器、音声パソコンによる受験等)が、地方公務員や各種資格取得試験での配慮に拡がる契機になるよう期待したい。
(6)家族(妻や父母)からの、本人の精神的落ち込みを心配しての相談も少なくない。引き続きフォローして行きたい。

■交流会事業
理事 重田雅俊
東京会場:理事 神田 信・市川 浩明、 運営委員 大橋 正彦・小原 丈夫 
大阪会場:理事 的場 孝至
九州会場:理事 藤田 善久

1.タートル交流会
(1)実施日時・場所
9月22日・11月17日・3月16日(第3土曜日)13時30分~15時15分
東京会場 日本盲人職能開発センター
大阪会場 日本ライトハウス情報文化センター
福岡会場 はかた近代ビル 貸会議室、福岡県立ももち文化センター
熊本会場 熊本市希望荘 別館
(2)実施内容
東京会場の講演の様子を大阪、福岡、熊本の会場にスカイプで中継した。
9月22日交流会 講師 藤井 亮輔 氏
テーマ 「理療就労の現状と展望」
参加者数 82名 (内訳 東京57名、大阪8名、熊本17名)
11月17日交流会 講師 山賀 信行 氏
テーマ 「目がみえなくてもICT機器を使って少しでも豊かな生活を」
参加者数 99名 (内訳 東京70名、大阪15名、福岡14名)
3月16日交流会 講師 六川 真紀 氏
テーマ 「たくさんの方の支援を受けて復職~充実の毎日~」
参加者数 129名 (内訳 東京97名、大阪18名、福岡14名)
(3)事業効果
a.理療業の現状と課題、視覚障害者にとってのより簡単なパソコン利用、当事者による職場での体験談などについて見識を広げた。
b.女子会、イベント体験会、視覚障害についての勉強会など、活動が多彩になった。
(4)課題等
a.スカイプの不調で、講演の中継が途切れることがある。スカイプ以外の中継手段も模索していく必要がある。
b.参加者の増加に伴い、会場収容力が限界になってきている。
(5)大阪会場活動報告
・交流会はテーマにより参加者層は違ったが、毎回初参加者がいて就労継続について情報交換できる場の必要性を実感できた。
・情報交換の推進のため、勉強会後、交流会の実施を行い、就労事例の共有ができた。
・3月交流会は東京から理事が2名駆け付け、好評であった。
・交流会の参加をきっかけに入会につながることもあった。
・スカイプが不調で講演が聞きにくいことがあった。
2.タートルサロン
(1)毎月第3土曜日 14時~16時、日本盲人職能開発センターで開催。
総会や交流会の後に実施する場合は、15時30分~16時30分(ジョイント会場も同様に講演後に引き続き実施した。)
(2)参加者数:東京会場通年 541名 
(3)実施内容と事業効果
a.相談活動と会員間の交流を目的とし、定例化により毎回多数の参加があり、多様な話題が提供された。
b.相談窓口からの事前情報があり、初参加者への誘導や配慮ができた。
c.初期的な相談活動の場であり、タートルと相談者とを繋ぐ場となっている。
d.グループ分けを実施し、成果や課題が明らかになった。
e.毎月の定例化により参加者も増え、入会に繋がるケースも多かった。
(4)課題等
a.毎回40名を超える参加者があるため、できるだけグループ分けを行い、話し合う環境を整えていく。参加者の発言の機会や内容が偏らないように司会は配慮する。
b.個人情報に留意し、責任のある担当者によって引き続き記録をしていく。
3.女子会
理事:松尾 牧子 石原 純子
(1)第1回 「おしゃべりランチ会」
2018年7月14日(土) 13時~17時
食事のあと東京都障害者福祉会館 集会室に移動しておしゃべり会を開催。
参加者:19名(会員8名、非会員11名(新規参加者8名)、サポート者3名)
テーマは決めず、初参加者が多かったため、見え方や、近況、現在の仕事状況などの話が中心になった。数種類の飲み物を用意し、カフェを想定した雰囲気の中で開催した。会の始まりと終わりに、松尾さんのヴァイオリン演奏があり、とても癒されたと好評だった。
情報提供では、スマートグラス「Orcam」、iPhone用テンキーボード「Rivo2」、鍵などの紛失防止のためのグッズ「タイル」などの紹介があった。
(2)第2回 「おしゃべりランチ会」
2019年1月19日(土)11時30分~13時30分
レストランで会食をしながらテーマに沿って交流。
参加者:23名(会員10名、非会員9名(内新規参加者5名)サポート者3名、参加者のガイド1名)
テーマは「おしゃれ」について、わざわざお金をかけたものではなく、工夫しておしゃれをしてきてほしいと呼び掛け開催した。自己紹介で、当日の服装について解説や、おしゃれポイントを盛り込んで話をしてもらった。美味しい食事とともに楽しい会となった。
(3)事業効果
・女性会員間で気兼ねなく話をして交流できる場所と機会を提供することができた。
・女性初参加者に対し、タートルの活動に関心を持ってもらうきっかけになり、参加へのハードルを下げることに寄与できた。
(4)まとめ
・女性は仕事だけではなく、家事、子育てなど幅広くやらなくてはいけない状況があり悩みもある。同じ立場の人と話をすることが明日の力になる。
・当事者の初参加者が回を追うごとに増えている。一方、サポートスタッフが不足している状況で、安全面の配慮や、サポート者の負担が増大していることについて検討の必要がある。
4.スマートグラス体験会
理事 神田 信
1回目7月21日(土)11時30分~13時30分
(タートルサロンの前に実施)
2回目11月25日(日)10時~17時
実施場所:日本盲人職能開発センター
(1)実施内容
話題の視覚を補助するメガネ型デバイス”スマートグラス”のメーカーに参加いただき、体験会を2回に渡り実施した。(製品名の後は体験人数)
・1回目
OTON GLASS 22名  eSight 17名  QDレーザ 16名
・2回目
オーカムマイアイ2 45名  暗所支援メガネ(MW10HiKARI) 20名
2回目に就労個別相談会を同時開催し、2名の参加があった。
(2)事業効果
a.参加者に最新の技術を体験していただき、各メーカーに直接ユーザーとしての意見を伝える場の提供ができた。
b.告知活動を通じてタートルの知名度や参加のきっかけを作った。
c.一部のマスコミの報道により、タートルの存在をアピールできた。
d.出展料や原稿執筆料の収入により、経費を補い開催することができた。
(3)課題等
a.1回目の体験会は長時間お待ちいただくことや時間切れで体験できないケースがあった。
b.会場が、パソコン検定の日と重なり、声や音漏れに配慮しなければならなかった。

■情報提供事業
Ⅰ IT事業     理事長 松坂 治男

1.Webの管理(外部委託)
行事の案内:4回、「情報誌タートル」:4回、お知らせ等を掲載した。
2.メーリングリストの管理(外部委託)
タートルML・会員専用ML・役員連絡用ML
特に障害者国家試験の情報、視覚障害者本人からの悩み、本の発刊のお知らせ、他団体の行事へのお知らせ、各種講座の開催情報及び実務で使用しているパソコンの操作方法等、活発な意見交換が行われた。
3.交流会開催時、スカイプを利用した各会場間の通信については、ほぼ順調に接続ができた。ただし、スカイプは無料のソフトで、大幅にレイアウトが変更され操作面での問題もあり、他の通信手段を検討しなければならない。
4.大学・企業の視覚障害者対象のアンケート調査への協力
(1)NHK技術研究所の実証実験に参加
7月に2回、11月に2回 延べ19名
(2)DA社アンケート調査 27名
(3)NPO法人神戸ライトハウスのQRコード実証実験に8名参加

Ⅱ 情報誌作成事業   理事 市川 宏明

・「情報誌タートル」を計画通り年4回発行した。⇒第43号~46号
・表紙にイラスト・写真等を取入れ誌面を充実。⇒表紙写真については専門の協力者に確認を依頼し、ビジュアル面を充実させた。
・44号より校正担当者が交替した。
・定形外の記事を掲載し誌面の充実を推進。⇒女子会の催しなど。

■セミナー・啓発事業
副理事長 新井 愛一郎

Ⅰ タートル勉強会
1.勉強会の開催
2016年度から始まった実践的ビジネススキル勉強会をタートル勉強会として、4月、2月の2回ジェイリース㈱の会議室で開催した。
4月28日(土)14時~16時
テーマ:墨字文章にどう対応しているのか?
いろいろな墨字文章にどう対応しているのかを、4人の事例発表から勉強した。
業務で行っている個々の事例、個々の対応策を出し合って、「見えなくても働き続けるためのたくさんのお宝は私たち一人一人の中にある」ということを再確認した。
スマートフォンアプリも含めたOCRについての情報交換が多かったが、技術の日進月歩の中で、今後きちんと整理していく必要を痛感した。
2月2日(土)14時~16時
テーマ:プレックストークでのメモ取りから、業務への活用の可能性を考える。 体験から情報提供:村田拓朗氏
全般的な情報提供:荒川明宏氏
(株式会社ラビット代表)
利用したことがない方がかなりおり、やはり基本的なことを知ることの大切さを痛感した
。その意味でも、実際活用している事例発表は大変役立った。 また、今回は㈱ラビットの荒川氏にお話ししていただき、さまざまな活用事例と共に近い将来、今までの事務職の仕事が人工知能で可能になる中で、私たちの事務職もどうあるべきかが課題になると言う問題意識も述べられ、大変考えさせられた。
東京会場は毎回定員の35名に達する盛況ぶりで、大阪会場、福岡会場も大変活発な参加があった。
また、2017年12月以降の開催についてはジェイリース株式会社様のテレビ会議システムを使用させていただき、大阪と福岡と東京をつなぎ開催したが、3地域のやり取りが大変スムーズであり、同一会場で開催しているように感じられ、将来、このような会議システムがタートルのいろいろなイベントで活用できればと考えることができた。
2.勉強会報告書の作成
録音データのテキスト化を基に編集作業を行い、公表のための準備をおこなってきた。勉強会の成果を多くの皆さんにお伝えするために、報告書の作成が大きな目標だったが、整理作業に追われて全体をまとめた報告書(冊子)の完成に至らなかった。2019年4月の開催で10回になる。この事業は助成金の申請が認められたので、2019年度の完成を目指す。
Ⅱ それ以外の活動
1.タートルパンフレットの配布
会員全員で無理なくできることをまずやっていこうと言うことで、タートルのパンフレットを受診している眼科や訪問する役所などに渡そうと言う計画を立てたが、パンフレットの更新作業と重なり実施できなかった。この事業は継続して進める。
2.企業セミナー
企業・団体への視覚障害者理解のためのセミナーの提案も実施できなかった。実施のための具体的な議論を積極的に進める必要がある。

■ボランティア関係
理事 市川 宏明

1.ボランティアの現況(東京)
(1)交流会等、タートルの行事に協力して頂ける方は25名登録。⇒昨年比3名増。
(2)総会・交流会・勉強会・その他行事に基本4名を配置。
(3)募集は情報誌/WEB/知人などへの呼びかけ、視覚障害者接し方講座の企画、ボランティアセンターへのアプローチなどで実施した。
ボランティアセンターのwebや掲示棚、地域への紙媒体配布を利用した結果、登録情報からのアプローチがあり、効果が認められた。
(4)東京以外のボランティアの状況は、地方会場…必要なし。といった拠点もある中、必要性を感じている拠点もある。⇒東京からも告知などのフォロー実施予定。
2.「解りやすい視覚障害者への接し方講座」を2回開催。
神奈川10月20日、東京2月16日
参加者30名(詳細は、別途報告)
ボランティア登録のお申出があり、効果が認められた。
また、神奈川県で実施した結果、地域住民に視覚障害者への理解、タートルの活動を展開できた。
3.ボランティア意見交換会は実施に至らなかった。

第2号議案 【2018年度 収支決算報告書】

2018年4月1日から2019年3月31日まで
特定非営利活動法人タートル
科目 予算額 決算額 予算額-決算額 備考
Ⅰ経常収益
1 受取会費
・正会員受取会費 1,000,000 990,000 -10,000 受取会員数 198名
・賛助会員受取会費 700,000 660,000 -40,000 受取会員数 116名
1,700,000 1,650,000 -50,000 2 受取寄附金 
・受取寄附金 400,000 431,868 31,868 受取会員数 54名
・施設等受入評価益 0 0 0
400,000 431,868 31,868
3 受取助成金等
・受取補助金 800,000 840,000 40,000 ゆうちょ年賀寄附金、福祉助成金
800,000 840,000 40,000
4 事業収益
・セミナー事業収益 0 0 0
・交流会事業収益 0 20,000 20,000 スマートグラス体験会出展料
・情報提供事業収益 0 242,000 242,000 QRコード実証実験ほか
0 262,000 262,000
5 その他収益
・受取利息 500 32 -468
500 32 -468
経常収益計 2,900,500 3,183,900 283,400
Ⅱ経常費用
1 事業費
(1)人件費 0 0
給与手当 0 0
人件費計 0 0
(2)その他経費
・相談事業費 600,000 404,790 -195,210 LV相談会交通費・LV学会参加交通費
・交流会事業費 300,000 346,634 46,634 交流会講師謝金・ボランティア交通費
・情報提供事業費 950,000 872,575 -77,425 情報誌、サーバー管理費、テープ起こし
・セミナー事業費 50,000 15,235 -34,765 視覚障害者との接し方講座交通費・備品
・就労啓発事業費 100,000 19,000 -81,000 勉強会交通費
その他経費計 2,000,000 1,658,234 -341,766
事業費計 2,000,000 1,658,234 -341,766
2 管理費
(1)人件費
・役員報酬 0 0 0
・給料手当 0 0 0
人件費計 0 0 0
(2)その他経費
・事務協力費 200,000 0 -200,000 サロン等の運営のため、交流会事業へ計上
・会議費 40,000 74,300 34,300 幹事会30年度。31年度分は前倒しで実施
・旅費交通費 200,000 53,990 -146,010 幹事会の交通費
・通信運搬費 150,000 70,894 -79,106 総会案内、寄付金受領書等、発送費
・消耗品費 50,000 5,974 -44,026 東京会場の交流会用マイク購入
・事務消耗品費 100,000 93,613 -6,387 コピー用紙、インクカートリッジ等
・保険料 15,000 16,660 1,660 傷害保険、賠責保険の団体保険
・諸会費 10,000 27,792 17,792 障害者団体定期刊行物協会等
・セミナー参加費 30,000 0 -30,000
・支払手数料 10,000 6,454 -3,546 振込手数料
・講師謝金 0 0 0
・情報調査研究事業費 0 0 0
・雑費 0 5,940 5,940 関係者の弔電等
その他経費計 805,000 355,617 -449,383
管理費計 805,000 355,617 -449,383
経常費用計 2,805,000 2,013,851 -791,149 当期経常増減額 95,500 1,170,049 1,074,549
Ⅲ 経常外収益 0 0 0
経常外収益計 0 0 0
Ⅳ 経常外費用 0 0 0
経常外費用計 0 0 0
税引き前当期正味財産増減額 0 0 0
法人税、住民税及び事業税 0 0 0
当期正味財産増減額 95,500 1,170,049 1,074,549
前期繰越正味財産額 3,765,299 3,765,299 0
次期繰越正味財産額 3,860,799 4,935,348 1,074,549

〔2018年度 会計監査報告〕

2019年 4月 15日
特定非営利活動法人タートルの2018年度(自2018年4月1日 至2019年3月31日)の事業、会計帳簿・会計収支報告・領収書等を監査した結果、収支内容が適正に処理されていることを認めます。
監事 下堂薗 保
監事 伊吾田 伸也

第3号議案 【2018年度 会計監査実施結果報告】
監事 下堂薗 保

伊吾田監事と下堂薗監事は、2019年4月15日(月)、(社福)日本盲人職能開発センターにおいて、2018年度の会計監査を実施したので下記の通り報告します。

1.会計関係
本年度も最終的に黒字決算となり、正味財産額としては累計500万円に迫る結果となり改善が図られた。
2.事業関係
(1)各事業において、参加者数の増加がみられ盛況だったと言える。
(2)サロンは人気が高いことに鑑み、「十分な意見交換の場を提供するとの初期の目標実現のため」運営上の工夫の時期にあると言えそうだ。
(3)一方、これら交流会、サロンの盛況ぶりは、関東地方以外においても必要性が考えられることから、関東地方以外の地における開催の検討が望まれる。
(4)サンキューカードの配布要請については、協力者への配慮の点において理解できるが、ただし、配布に協力する側には具体的にどんなメリットがある協力事業なのか、不明と指摘したい。

以上

第4号議案 【2019年度役員選任(案)】

定款の規定により、役員全員が任期満了となるため、次の方々を推薦する。
(記載はアイウエオ順)
1.理事 新井愛一郎(アライアイイチロウ) 重任
2.理事 石原純子(イシハラジュンコ) 重任
3.理事 市川浩明(イチカワ ヒロアキ) 重任
4.理事 神田信 (カンダ シン) 重任
5.理事 工藤正一(クドウショウイチ) 重任
6.理事 熊懐敬(クマダキ ケイ) 重任
7.理事 重田雅俊(シゲタマサトシ)重任
8.理事 杉田ひとみ(スギタヒトミ)重任
9.理事 芹田修代(セリタノブヨ) 重任
10.理事 中本英之(ナカモト ヒデユキ)重任
11.理事 長谷川晋(ハセガワシン) 重任
12.理事 藤田善久(フジタヨシヒサ)重任
13.理事 星野史充(ホシノフミタカ)重任
14.理事 松尾牧子(マツオ マキコ)重任
15.理事 松坂治男(マツザカハルオ)重任
16.理事 的場孝至(マトバタカシ) 重任
17.理事 湯川仁康(ユカワキミヤス)重任
18.理事 大橋正彦(オオハシ マサヒコ) 新任
19.理事 小原丈夫(コハラタケオ) 新任
20.理事 六川真紀(ロクカワマキ) 新任
理事 和泉 森太(イズミ シンタ) 退任
監事 伊吾田伸也(イゴタシンヤ)  重任
監事 杉江 勝憲(スギエ カツノリ)新任
監事 下堂薗保(シモドウゾノタモツ)退任

付記
2018年12月 藤井貢理事がご逝去されました。藤井貢様の生前のご功績をしのび、心からご冥福をお祈り申しあげます。

第5号議案 【2019年度事業計画(案)】

■活動方針
理事長 松坂 治男

各事業の主な活動は以下の通りである。
1.相談事業は、相談者の情報の一元管理を実施して、データベースの確立を目指す。首都圏以外の相談者にどのようにアプローチしていくかを検討する。
2.交流会事業は、タートルサロンを首都圏以外でも行うことを検討する。また、その中で女子会も試行していく。
3.情報提供事業は、ホームページに活動風景の写真やビデオを追加して、さらにタートルの活動を視覚的にもアピールし、賛助会員及び寄付者の増加に繋げる。
大学や企業の視覚障害者関連調査・研究への協力を実施する。
情報誌タートルを発行し、会員、眼科医、関連機関等に配布する。
4.セミナー・啓発事業は過去10回実施したタートル勉強会をまとめ、ホームページへの掲載と冊子化の検討を行う。さらに次期、勉強会の内容を検討し推進する。
5.視覚障害者との接し方講座を継続実施し、ボランティアの確保を計る。
本年度(11月~)は「認定NPO法人」の更新時期となるため、その対策と準備を進める
。また、活動資金の確保のため、寄付や助成金等の獲得に積極的にアプローチする。 なお、次年度(2020年)は25周年の節目であるため、プロジェクトを発足し、記念誌発行の準備を進める。

■相談事業
副理事長 工藤 正一
理事 熊懐 敬

1.これまでの取り組みの一層の充実
(1)相談の入り口である、電話・メールによる相談をしっかり受け止め対応する。
(2)必要に応じ、相談スタッフによる個別相談や、眼科医等の専門家を交えたロービジョン就労相談会を実施する。
(3)タートル交流会・サロン等とも連携し、相談当事者の発掘や、相談後のフォローに努める。
(4)各地区担当理事とも連携し、全国各地からの相談対応の充実をめざす。
(5)眼科医、訓練施設、地域障害者職業センター、ハローワーク等との連携により、当事者の就労を確実にし、定着化を図る。
(6)相談情報のデータとしての蓄積により、相談者のフォローや情報・ノウハウの共有化につなげる。
(7)より多くの人にタートルを知ってもらい、相談してもらえるようあらゆる機会をとらえてPRする。
(8)相談件数が増えてもこなせるための人材育成と体制の整備・強化を進める。
(9)2019年度は、公務員の雇用問題が引き続きクローズアップされる可能性がある。既に入職した人のフォロー、新しくチャレンジする人への相談対応にも万全を期したい。
2.各団体への協力と連携
(1)他団体イベントにおける出張相談により、当事者の掘り起しとタートルのPRを行う。
①JRPS神奈川主催の「アイフェスタ2019in横浜」(4月14日)に出展し、出張相談を行う。
②JRPS千葉主催の「第17回アイフェスタinちば」(5月19日)に出展し、出張相談を行う。
(2)ロービジョン学会におけるタートルの取り組み紹介
第20回日本ロービジョン学会学術総会(5月24日~26日、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター)において平素のタートルの相談対応について紹介する。
【演題】「認定NPO法人タートルにおける就労支援のための相談対応と支援内容」

■交流会事業
理事 重田 雅敏

1.タートル交流会
講演会を実施し、視覚障害者の就労に関する情報を提供する。
9月・11月・3月の年3回実施する。
専門家・当事者・タートル関係者を講師に招き、1時間の講演と30分の質疑応答を通して、視覚障害者の就労に関するタートル独自の情報を提供する。
実施場所:東京会場 日本盲人職能開発センター 地下研修室
各地域会場をスカイプで中継する。
2.タートルサロン
相談活動と会員の主体的な交流の場を提供する。
毎月1回 第3土曜日に実施。総会開催の6月は、総会後に実施。
会員が自由に参加できる相談・情報交換・交流の場を提供し、知識や経験のあるスタッフが対応する。
主な実施場所:日本盲人職能開発センター 東京以外での開催も検討していく。
3.女子会
理事 松尾 牧子・石原 純子
女子会(仮名)の実施を6月、9月に予定し、視覚障害を持つ女性の交流の場を提供する。

■情報提供事業
Ⅰ IT事業     理事長 松坂 治男

(1)Webの管理(外部委託)
お知らせや「情報誌タートル」を掲載する。
映像なども取り入れ、タートルの活動を視覚的にも解りやすく工夫する。
(2)メーリングリストの管理(外部委託)
タートルML・会員専用ML・役員連絡用MLの管理と運営
(3)交流会等の開催時の通信手段の検討。
(4)大学・企業による視覚障害者対象のアンケート調査及び視覚障害者関連調査に協力する。

Ⅱ 情報誌作成事業   理事 市川 宏明

会員/非会員を問わず、中途視覚障害で悩んでおられる方に役立つ情報誌を提供する。
基本購読媒体は墨字。但し、会員には希望によりメール配信、デイジー、テープ版を1種類提供する。
発行は年4回。6月、9月、12月、3月(予定)
誌面の充実⇒協力セミナーの告知など誌面の内容に合致したトピックスの掲載も検討していく。

■セミナー・啓発事業
副理事長 新井 愛一郎 

Ⅰ タートル勉強会
1.報告書作成と、それ以降の課題
今期4月の勉強会で、通算10回の「実践的ビジネススキル勉強会」を開催した。
事務職で活用できる業務がある程度でそろった。
・インターネットで情報の入手をどのようにするか
・データや資料をどのように保存して、いつでも活用できるようにしていくか
・素早くメモをどのように取るのか 
・メールの操作
・職場での「白杖デビュー」を考える
・iPhone・iPadなど、スマートデバイスの働くことへの活用
・ビジネスマナーについて
・墨字文章にどう対応しているのか
・プレクストークの活用
・ビジネスマナー第2段実践編
これら10回の成果をHPに掲載していくとともに、助成金を活用して独立した冊子にまとめる。それを多くの当事者や関係者に届ける。
勉強会自体は全国で多くても60人の参加である。しかし、その内容は大変貴重なものと確信している。これらがたくさんの人に伝わり、またそれに対してたくさんの反応が生まれて、内容が豊富化されていく。このサイクルをぜひ継続的なものにしていくことが視覚障害者全体の財産になると考える。報告書は出発であり、いろいろなところで働く視覚障害者の具体的な実践をもれなく集める作業を進めていく。
この作業を一緒に担っていく方を募集する。
2.勉強会の開催
今期前半は報告書の作成に集中し、2月と次年度4月に新たなテーマで企画する。
また、来年度以降の課題も、以下のようにしてテーマを探っていきたい。
・みんなの集まる場で、課題を出してもらい検討する。
・10回の勉強会を振り返り、もっと掘り下げていきたい点を考える。
・環境の変化の中で新しい課題も出てきている。
Windows10の普及のなかでロービジョン者の拡大機能の活用について問題が出されている。
スマートフォンの仕事への活用がいろいろと展望されている。
これらについて、今期の勉強会のテーマを検討する。

Ⅱ それ以外の活動
・会員にタートルパンフレットを2部ずつ送り、眼科や、役所等、自分たちの足元からパンフレットを配布する活動を会員皆でやっていく。
・企業・団体に対しての視覚障害者理解のためのセミナーの提案については、担当を明確にして具体的に進めていきたい。タートルには、見えなくても 働き続けてきた多くの仲間がいる。これらの人たちは、多くの人々に大切な問題提起ができるものと思う。いろいろなところでお話しをしていただき、退職したメンバーの活躍の場にしていきたい。

■ボランティア関係
理事 市川 宏明

1.ボランティアの募集
ボランティアセンターのWEBや地域への紙媒体配布を利用する。
各拠点と協力体制をとり、ボランティアの獲得に努める。
2.運営
必要とされる各種の催しに対応
ボランティア業務内容の精査を継続し、より皆様に活躍していただける環境を整備する。
募集からOJTなどといったプロセスを明確化して効率的に運営をする。
3.誘導/接遇等の研修の実施の充実
覚障害者との接し方講座を継続実施する。
 ボランティア意見交換会を実施する。

第6号議案 【2019年度 活動計算書(案)】

2019年 4月 1日から 2020年 3月 31日まで
認定特定非営利活動法人 タートル

(単位:円)

科 目 金 額
Ⅰ 経常収益
1 受取会費
正会員受取会費 1,050,000
賛助会員受取会費 700,000
1,750,000
2 受取寄附金
受取寄附金 400,000
施設等受入評価益 0
400,000
3 受取助成金等
受取補助金 0

4 事業収益
セミナー事業収益 0
情報提供事業収益 120,000
120,000
5 その他収益
受取利息 500
500
経常収益計 2,270,500
Ⅱ 経常費用
1 事業費
(1)人件費
給料手当 0
人件費計 0
(2)その他経費
相談事業費 300,000
交流会事業費 500,000
情報提供事業費 880,000
セミナー事業費 50,000
就労啓発事業費 50,000
その他経費計 0 1,780,000
事業費計 1,780,000
2 管理費
(1)人件費
役員報酬 0
給料手当 0
人件費計
(2)その他経費
会議費 50,000
旅費交通費 100,000
通信運搬費 80,000
消耗品費 30,000
事務消耗品費 100,000
保険料 20,000
諸会費 80,000
支払手数料 10,000
雑費 30,000
その他経費計 470,000
管理費計
経常費用計 2,250,000
当期経常増減額
Ⅲ 経常外収益
経常外収益計
Ⅳ 経常外費用
経常外費用計
税引前当期正味財産増減額
法人税、住民税及び事業税
当期正味財産増減額 20,500
前期繰越正味財産額 4,935,348
次期繰越正味財産額 4,955,848

第7号議案 【平成27年(2015年)度 活動計算書の修正】

27年4月1日から28年3月31日まで
【修正後】
認定特定非営利活動法人 タートル
科目 金 額 備考
Ⅰ 経常収益
1 受取会費
正会員受取会費 1,285,000 年会費 個人@5000×230人 27年度以前27人
賛助会員受取会費 185,000 年会費 個人@5000×37口)
2 受取寄附金
受取寄附金 685,132
3 受取助成金等
受取補助金 500,000 年賀寄付金
4 事業収益
情報調査研究事業収益 433,000 情報IT アンケート協力
事業収益
5 その他収益
受取利息 656 受取利子
雑収入 643,680 ビデオ出演料法人へ 筑波技大調査依頼
経常収益計 3,732,468
Ⅱ 経常費用
1 事業費
相談事業費 130,000 LV相談会 LV学会参加
交流会事業費 109,500 交流会会場費 講師謝金 ボランティア交通費
情報提供事業費 962,463 ウェブサイト更新料、KRC調査委託等
セミナー開催事業費
就労啓発事業費
その他の経費
印刷製本費 881,430 情報誌 広報誌等
2 管理費
事務協力費 444,350 晴眼者の事務その他の協力費
委託料 65,090 NPOに関するアドバイス料
諸会費 21,644 各種団体への年会費
セミナー参加費 3,000 セミナー参加料 @1000×3名
事務消耗品費 137,041 コピー用紙 インクカートリッジ等
支払手数料 8,988 振込手数料
通信運搬費 169,045 宅急便 郵便物の送料
サーバー管理費 0
旅費交通費 348,580 役員・運営委員交通費
雑費 124,900 テープ起こし 録音等
経常費用計 3,406,031
当期経常増減額 326,437
当期正味財産増減額 326,437
前期繰越正味財産額 2,773,307
次期繰越正味財産額 3,099,744
【変更理由】
認定更新申請に向けて、専門家の指導も受けつつ、過去の決算の精査をしていたところ事業費・管理費の計上を一部修正した方がより適切であることが判明したため【対応】
事業費・管理費の計上を一部修正。当期経常増減額、当期正味財産増減額に影響なし

平成27年(2015年)年度  活動計算書
27年4月1日から28年3月31日まで
【修正前】
認定特定非営利活動法人 タートル
科目 金 額 備考
Ⅰ 経常収益
1 受取会費
正会員受取会費 1,285,000 年会費 個人@5000×230人 27年度以前27人
賛助会員受取会費 185,000 年会費 個人@5000×37口)
2 受取寄附金
受取寄附金 685,132
3 受取助成金等
受取補助金 500,000 年賀寄付金
4 事業収益
情報調査研究事業収益 433,000 情報IT アンケート協力
事業収益
5 その他収益
受取利息 656 受取利子
雑収入 643,680 ビデオ出演料法人へ 筑波技大調査依頼
経常収益計 3,732,468
Ⅱ 経常費用
1 事業費
相談事業費 130,000 LV相談会 LV学会参加
交流会事業費 109,500 交流会会場費 講師謝金 ボランティア交通費
情報提供事業費
セミナー開催事業費
就労啓発事業費
その他の経費
印刷製本費 881,430 情報誌 広報誌等
2 管理費
事務協力費 444,350 晴眼者の事務その他の協力費
委託料 604,708 NPOに関するアドバイス料、調査委託
諸会費 21,644 各種団体への年会費
セミナー参加費 3,000 セミナー参加料 @1000×3名
事務消耗品費 137,041 コピー用紙 インクカートリッジ等
支払手数料 8,988 振込手数料
通信運搬費 169,045 宅急便 郵便物の送料
サーバー管理費 422,845 ウェブサイト更新料等
旅費交通費 348,580 役員・運営委員交通費
雑費 124,900 テープ起こし 録音等
経常費用計 3,406,031
当期経常増減額 326,437
当期正味財産増減額 326,437
前期繰越正味財産額 2,773,307
次期繰越正味財産額 3,099,744

【2019年度総会記念講演】

「障害者雇用に関する裁判例から学ぶ交渉術」

弁護士 大胡田 誠(おおごだ まこと)氏

1 改正障害者雇用促進法のポイント

弁護士の大胡田でございます。私は弁護士になりまして12年目を迎えました。日々取り扱っているのは、主に「一般民事事件」などと言って、一般市民の皆さんが多く直面するトラブルです。

今日は障害者雇用の判例について検討し、判例を分析していく中で、職場ではどんなトラブルが起こりやすいのか、そういうトラブルの時にはどういう知識を持って企業と交渉すれば良いのか、それを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

その前提として、まずは障害者雇用促進法の規定を復習したいと思います。障害者雇用促進法は、従来は、法定雇用率を定め、一定の雇用率を達成していない企業から納付金を徴収するという法定雇用率制度が中心でした。そしてこの納付金を財源として、様々な助成金が給付されています。現在、法定雇用率は民間企業が2.2%で、公務部門が2.3%となっています。そして、この法定雇用率を達成できていない企業は、一人当たり毎月5万円の納付金を納めなければいけませんが、こういった納付金を集めてファンドを作り、このファンドから様々な雇用支援対策の助成金を出すということが行われているわけです。

2016年に改正された障害者雇用促進法には、こういった割当雇用、納付金や法定雇用率の制度に加え、障害を持った労働者に対する差別の禁止と、障害を持った労働者に対する合理的な配慮の提供が義務付けられました。同時期にできた障害者差別解消法にも差別禁止と合理的な配慮の提供義務が定められていますが、雇用の分野に関して言うと、障害者雇用促進法には企業側の義務を加重する形で、差別禁止や合理的な配慮の提供義務が定められています。

では、どんな点で義務が加重されているのかと言うと、例えば障害者差別解消法の中では民間企業についての合理的な配慮は努力義務となっています。努力義務というのは、「行うことが望ましいが、行わなかったとしても直ちに法律違反になることはない」という義務です。しかし、雇用分野では、障害者雇用促進法により、民間企業であっても障害のある労働者に対する合理的な配慮は法律的な義務とされて、一段高くなっています。ですから、企業が合理的な配慮を行わなければ、法律違反という評価を受けることになるのです。

また、障害者差別解消法では、障害者が合理的な配慮を受けるためには、まず障害者からの申し出が必要だとされています。障害者が申し出たことに対して、事業主や行政機関が適切な配慮をしなければいけないという建て付けです。しかし、雇用の場面については、仮に障害者が明示的に申し出ていなかったとしても、企業の側がむしろ障害者の支障となっている事実を確認し、適切に合理的な配慮をしなければいけない規定となっています。極論をすれば、障害者が何か配慮を求めなかったとしても、企業の側は障害者のニーズをくみ取って配慮しなければいけないという義務になっているのです。

このように、障害者雇用促進法の中では、特に合理的な配慮の部分に関し、雇用分野以外の一般の社会よりも義務が強くなっていると言うことができます。では、どんな規定になっているのか確認をしてみたいと思います。

(1)差別禁止規定について

まずは「差別禁止」についてです。差別禁止に関しては、募集・採用時と採用されて実際に働く段階の2つに分かれています。募集・採用の時点では次のような規定になっています。「事業主は…障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない」というもので、障害者と健常者に平等な機会を与えなければいけないということです。

そして、採用後の実際に働いている場面に関しては、「事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない」となっています。事業主は、例えば賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用といった待遇面で、障害者と健常者を区別して扱ってはいけないことになっているのです。

そして、厚生労働省では、この法律をさらに具体化するガイドラインを作っています。 まず、募集・採用の時点で禁止される差別は何かというと、「募集・採用の対象から障害者を排除する」「募集・採用の際に障害者のみに不利な条件を付する」「募集・採用の基準を満たす者の中から障害者ではない者を優先的に採用する」というもので、こういった行為はいけないと厳しく例示をされています。

さらに、採用されて実際に働くようになってからは、次のようなことが禁止されています。「障害を理由に一定の手当を支給しない」ということで、他の健常者には支給するのに、障害者には手当を支給しないといった取り扱いは駄目だというわけです。また、「一定の職務に配置するに際し、障害者にのみ不利な条件を付する」ということ。さらには「一定の役職への昇進の対象から障害者を排除する」このような取り扱いは禁止されています。

(2)合理的配慮規定について

そして、「合理的な配慮」については、まず法律では次のようになっています。こちらも募集・採用時と、採用後の実際に働いている場面に分けて規定されていますが、募集・採用時は「事業主は、…障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、…障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない」というものです。ここでは「障害者からの申出により」という形で申出が要件となっていますが、募集・採用の時点でも事業主は「申出があった場合には、必要かつ相当な措置を講じなければならない」ということです。

そして、採用後の実際に働いている場面では「事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない」というものです。

つまり、事業主は雇用している障害者のニーズに応じて、設備の改善や援助を行う者の配置など、合理的な配慮をしなければいけないことになっています。このように募集採用時から実際に働く場面においても、事業主は一貫して合理的な配慮をしなければいけないことが法律で定められています。

そして、先ほど申し上げた厚生労働省のガイドラインの中では、各障害別にどんな合理的な配慮が望ましいのか、いくつか例示がされています。例えば、視覚障害の場合には、次のような合理的配慮の例が書かれています。「募集・採用の段階では、募集・採用の内容を音声等で伝える」ということです。より現実的に言えば、画面読み上げソフトでも読み上げられるホームページにするとか、必要に応じテキストデータやメール等で募集採用の内容を提供するとか、そういったことが合理的な配慮として求められています。また、入社試験を点字や音声パソコン、拡大文字等で受けられるよう配慮するとか、時間延長をするといった配慮も求められるとされています。

次に、採用後、実際に働く場面では6項目ほどが挙げられています。まずは、業務指導や相談の担当者を決めることで、誰が合理的な配慮についての窓口となるのか、そういった担当者を決めることが必要になります。2つ目には、画面読み上げソフトや拡大文字を使って業務が行われるようにすること。そのような設備をきちんと揃えましょうということです。3つ目には、出退勤時間や休暇・休憩について、通院や体調に配慮すること。これも必要だとされています。4つ目には、職場内の危険箇所を事前に確認しておくこと。5つ目には、職場内の移動について配慮をすること。あまり移動距離が増えないようにするとか、危険なところを通らなくてもいいように移動について配慮をすること。6つ目は、他の同僚に対し、障害者のプライバシーに配慮しながらも、障害の内容や求められる手助け・配慮に関して、きちんと説明をすることで、これも必要な合理的配慮となっています。これらが、厚労省のガイドラインで例示されている「視覚障害者に対する合理的な配慮」になります。

さて、ここまで改正障害者雇用促進法の規定についてお話をしてきました。今日の後半では、近年出された障害者雇用に関係する裁判例をご紹介しながら、この裁判の中でどのような争点があったのか、そしてこれらの争点について我々はどう考えていけば良いのかを、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

2 近年の障害者雇用をめぐる裁判例から学ぶ交渉術

(1)事例1

今日は事例を4つ用意しました。まず、1つ目は「使用者による情報取得」に関係する判例です。いずれも最高裁の判決ですが、有名な「ヒューレット・パッカード事件」と「東芝うつ・解雇事件」を素材に事例を作りました。少し長いですが、事例を読んでみるので皆さんも一緒に考えてみてください。

「Y社に入社したXは、入社前にうつ病に罹患していたことがあったが、Y社の採用に応募していた当時には何ら生活に支障はなく、就職に不利になるとも考えたため、採用面接の際にはそのことを言わずに面接を受け、採用された。しかし、勤務開始後に、Xのうつ病は悪化し、欠勤を繰り返すようになってしまった。Xは病院に行くこともままならず、Yに診断書なども提出することができない状態となった。YはXが無断欠勤をしたとしてXを諭旨解雇した。この解雇は有効か」という事件です。

Xさんは過去にうつ病の治療を受けていた履歴があったのですが、募集・採用の段階では健康状態が良かったので、そのことを黙って入社しました。ところが、仕事をしていく中でうつ病が悪化し、病院にも行けないような状態になってしまい、会社に診断書も出せなかったため、会社側は無断欠勤をしたということで、諭旨解雇をしたと。

諭旨解雇というのは、懲戒解雇にほぼ同じです。懲戒解雇ではあるが、温情で諭旨解雇としたわけです。諭旨解雇になると退職金等が出ますが、懲戒解雇は出ませんから、懲戒処分の1つである諭旨解雇としたわけです。さて、この解雇は有効なのかという事例です。

ア 精神疾患を隠して入社したことは経歴詐称などと同視しうるか

この事件の争点の1つ目は、「精神疾患の治療を受けていたことを隠して入社したことは、経歴詐称などと同視し得るような懲戒事由になるのか」ということで、精神疾患の治療歴を隠して入社した場合はどうなのかということです。これは精神疾患の場合になりますが、私たち視覚障害者にとっても、こういうことはあるかもしれません。ちょっと自分は目が見えにくいが、それを言うと採用されないかもしれないため、敢えてそれを言わずに就職活動をするということもあるかもしれません。

精神疾患の場合と身体障害の場合には、並行して考えることができないような気もします。精神疾患で症状が良くなったり悪くなったりすることを、障害とするのか病気とするのか、私にもその区別ははっきりとしません。でも、一定の症状が寛解したり悪化したりを繰り返す場合には、「障害」と言った方が良いこともありますよね。そうしないと、例えば手帳が取れなかったり、障害者雇用の優遇が受けられないこともありますから。

視覚障害の場合は軽いので、言わなくても良いのではないかというのも、1つの考えだろうと思います。ただし、今回この裁判でもあったように、後々障害の程度が増悪した場合には「それなら、最初から言ってくださいよ」という企業側の反応が来る可能性も無くは無いわけです。

ですから、ここは結構悩ましいところになりますが、いわゆる「クローズド就職」と言って、障害や病気のある人は敢えてそれを言わずに就職することが多いのです。特に精神疾患の場合、その結果が後々になって「最初から言ってくれれば配慮したのに、言ってくれないから配慮できなかったではないですか」と、問題になることが少なくないのです。

そこで、私としては、ここはある程度事前にオープンにして、適切な配慮を受けつつ働くことが、紛争予防になるのではないかと思います。必ずしもこれが正解だとは思いませんが、1つの考え方としてはあるような気がします。

障害者雇用促進法というのは、障害をオープンにして何か配慮を求めることが大前提なわけです。障害をオープンにした場合は差別をしてはいけないし、配慮をしなければいけないわけです。しかし、一方では、障害をオープンにすることで採用されない可能性が出てきます。それが本当に構造的なジレンマなのです。

ちょっと話がそれてしまいますが、実は合理的な配慮というのは、もとを辿ると起源はユダヤ教徒か何かなのです。確かユダヤ教徒の安息日は金曜日ですから、アメリカの方では、安息日に宗教上の理由で働けないことを企業側に言わなければいけません。また、企業側では宗教上の信念を尊重しなければいけません。そういうところから派生して、現在では障害に対する配慮にまでに至っているというわけです。

さすがに宗教であれば言わないと周囲にはわかりませんが、障害をそのように考えてしまうと、「これは難しいな」と思います。ここは「本当に難しい」という問題提起になってしまいますが、そういう状況なのです。

一応、知識ということで皆さんにお伝えすると「職業安定法5条の4」という条文があり、これは「事業主は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、個人情報を収集することができる」となっています。ですから、事業主側でも一定程度は身体の状態や障害についての情報収集をすることはできます。逆に「情報収集することは禁止されていない」ということが、法文上では言えます。

しかし、障害者の側としては積極的に虚偽を述べた場合はさておき、消極的に「ただ言わない」というだけで、これを経歴詐称と同視して懲戒処分を受けることはあり得ないと、私は思います。ですから、「あなたには何か障害は無いのですか」と聞かれ、「ありません」と言えば、積極的な虚偽となるかもしれません。しかし、「聞かれなかったから言わなかった」というのであれば、それを理由に懲戒処分を受けることはまず無いと考えます。仮に、懲戒処分を下したとすれば、これは違法となるのではないかと私は思っています。

イ 疾患が悪化し欠勤が続いたことを理由に諭旨解雇したことは有効か

次に、精神疾患が悪化して出社できない状態が続いたとしても、いきなり諭旨解雇というのは明らかに早いですよね。実は、最高裁の判決の中でもその点が指摘されています。例えば休職処分にするとか、「病院に行って医師の診断書を取りなさい」という業務命令を出すなど、そういった段階を踏まずに諭旨解雇に踏み切ったことは、明らかに権利の濫用であるというような判決が出ています。

実は、会社側は精神疾患にかかっていたことを把握していたようですし、病院に行けない状態にあることもわかっていたフシがあります。病院に行けない状態だとわかっていたのにもかかわらず、無断欠勤だと評価をするのは行き過ぎだという気がします。

事例1は、今日お配りいただいたレジュメの裁判例1と2が、今回の事例のもとになっています。

(2)事例2

事例2は「合理的な配慮」に関係する裁判例です。阪神バス事件というもので、労働法の中では割と有名な事件です。事例はこういったものです。

「バス会社Yに勤務するXは、腰椎椎間板ヘルニアの後遺症で「排尿・排便異常」が残ったため、勤務シフトがランダムに割り当てられると対応できない状態となった。そのため、Yに対し午後の遅いシフトで乗務することを求めた。しかし、Yは話し合いを拒否し、『通常の勤務シフトで勤務させる』と一方的に通告し、Xは欠勤せざるを得ない日が増えた。そのため、Xは他の同僚社員との間で昇進や給与に差をつけられるようになった。Yの対応は妥当か」という事例です。バス会社の問題です。

バスの運転手さんをしていたXさんは、腰椎椎間板ヘルニアの後遺症で「排尿・排便異常」が残ってしまい、具体的にはお手洗いに非常に時間を要し、毎日4時間ほどかかるようです。ですから、朝4時間ほどトイレにこもらないと出勤ができない状態になったのです。そこで、この旨を申し出ましたが、バス会社Yは「通常の勤務シフトで勤務しなさい」と、話し合いを拒否したということです。

ア 障害の状態に応じて出退勤時間を調整することと合理的配慮

さて、このようなケースですが、先ほど申し上げた障害者雇用促進法の合理的な配慮などに照らして、このYの対応はどう考えるべきでしょうか。まず、争点の1つとして「Yの対応は合理的な配慮の観点からどう考えるべきか」ということですが、バス会社には障害のある労働者に対して合理的な配慮を提供する義務があります。実は、ガイドラインなどを見てみると、障害の特性に応じて出退勤時間を調整するということも、企業側の合理的な配慮の例として挙がっています。ですから、このバス会社のY社は、きちっとガイドラインに従い、障害に応じた出退勤時間を設定するべきではないかと思うのです。

また、指針の中では合理的な配慮のプロセスについても規定されています。プロセスとしては、まずは事業主(企業側)が障害のある労働者について、定期的に支障となる事実の有無を確認する必要があります。そして、もし支障があれば話し合いを持ち、話し合いの結果、(障害のある労働者の)意思を尊重して、合理的な配慮の内容を決めましょうといったプロセスが定められています。ですから、話し合いを拒否して一方的にシフトを割り当てたことは、手段としてもおかしいという気がします。

ここから派生して少し解説をしてみると、企業と労働者が1対1の話し合いで解決できない場合はどうしたら良いかと言うと、実は紛争解決の仕組みが定められています。具体的には各都道府県に労働局があるので、労働局長に助言、指導、勧告を求めることができます。また、労働局の紛争調整委員会に調停を申し立てることもできます。仮に、企業側が合理的な配慮をしてくれない場合には、労働局に対して指導などを求めていく手段があることも1つ学びたいと思います。

イ 勤務シフトの変更と過重な負担

それでは次の論点ですが、合理的な配慮は、過重な負担となる場合には行わなくても良いこととなっています。このバス会社の事例は、過重な負担との関係ではどう考えれば良いでしょうか。

過重な負担まで、企業に負わせることはできません。勤務シフトのやりくりができず、それをすると企業が潰れてしまうところまではする必要がないということです。

ただ、この阪神バス事件で言いますと、この営業所には190人ほどのドライバーがいるようです。「それなら、やりくりしろよ」と言いたいところですね。つまり、企業の規模等によっても過重な負担かどうかは変わってくるというわけです。仮に過重な負担となる場合は、建設的な対話を通じて他の道は無いかを模索する必要があります。

つまり、単に配慮できないから「辞めてください」とするのではなく、例えば事務系の仕事ができるならそちらに配置転換するとか、仮にそのドライバーが週1回だけなら何とか午前中勤務ができるというのであれば、「では、週に1回だけ午前中に勤務してください。あとの5日間はいいですから」といった配慮もあり得るのではないでしょうか。そのような建設的な対話も重要なのだと思います。

そして、本事例では結果的に同僚と昇進や給与に格差ができてしまいました。この点は合理的な配慮を欠いたまま、結果的に不利益な取扱いとなっています。昇進や給与に格差を設けているわけですから、これは不当な差別だと思います。合理的な配慮をした上で、それに応じて給与に差をつけることは、やむを得ない面があるかもしれません。しかし、合理的な配慮もせずに区別をすることは、不当な差別となる可能性が高いと思います。

(3)事例3

事例3は「配置転換」の問題で、以下のようなものです。 「カラオケ機器の販売、カラオケ店の運営を目的とするY社に勤務する総合職のXは、主に営業職として活躍していたが、中途で視覚障害を負い、営業職としての業務に支障が生じた。しかし、Xはすぐに視覚障害者支援センターに通って、視覚障害者補助のソフトを用いたパソコンなどに習熟し、事務職としての職務が可能となったため、Yに対して事務職などに配置転換すれば働ける旨を申し出た。しかし、Yはこの配置転換を行わず、職務に耐えられない身体の状態であるとして、Xを解雇した。この解雇は有効か」という事例です。これは「第一興商事件」が素材になっております。

カラオケ店を運営しているY社に総合職として入っていたXさんが、中途の視覚障害を負ってしまったと。営業職であったが、営業職はなかなか難しいということで、すぐに支援センターに通ってパソコンを練習し「事務系の仕事ならできるから、事務系の仕事に配置転換してください」と申し出た。しかし、会社はこれを拒否し、最終的には「業務に耐えられない」ということで解雇に至ったという事例でした。

ア 障害の状態に応じた配置転換について

まず、最初の争点は「YはXを他の部署に配置転換するべきだったのか」ということです。この参考となるのは「片山組事件」という有名な最高裁判例です。この片山組はもちろん建設系の会社ですが、この片山組で言うと、病気や障害のため特定の職務が行えないとしても、職務や職務内容を限定せずに雇われた場合、他に現実的に配置可能な業務があって、その業務への配置転換を申し出ている際は、債務の本旨に従った労務の提供があったと評価すべきであるということです。

ですから、それまで従事してきた業務が障害などのためにできなくなった場合も、大企業であれば他にも現実的に配転可能な職種はあるはずです。そして「その職種であれば自分は働ける」と障害者が主張・立証した場合は、「そこで働かせなさい」という理屈になると思います。ただし、障害者としては「他にどんな職務ができるのか」「自分はそれをどうやって遂行するのか」というところまで、労働者側がきちんと言わないと駄目なのです。会社側はそこまで考えてくれないと言いますか、この点がちょっと難しいところではあります。

今回の第一興商事件では、視覚障害者支援センターに通ってパソコンを勉強し、「事務系の仕事ならできます」というところまで労働者が言ったわけです。しかし、それにもかかわらず配置転換を断ったわけですから、「これは、いけませんね」と。つまり、労働者の側としては、「今の仕事はできませんが、何かできそうだからどこかに異動してください」と言うだけでは多分駄目なのです。ちょっとハードルは高いのですが、自分はどのような配慮があればどのような仕事ができるかなどを主張しなければならない、そこまでは頑張らなければいけないわけです。

そして、障害者雇用促進法のガイドライン(指針)の中でも、中途障害の場合には職務の変更や配置転換などが求められています。ですから、この事例では、やはり会社側が適切な配置転換をするべきだったと言えるでしょう。

最近は、総合職ではなく、専門職採用が多くなってきていますが、その場合は、まだ判例はないとは思いますが、理屈では厳しいと思います。結局、エンジニアで雇われた人が全盲になってしまったと。そして、そのエンジニアができなくなった場合、契約上、企業はエンジニアとしての仕事をしてくれる人を雇ったのであって、それをしてくれないのであれば駄目だという理屈になりがちなのです。

しかし、ここでは障害者雇用促進法の理念などをくみ取り、法律的に言うと「信義則」や「公序良俗」といった原則に基づく最終手段と言うのでしょうか、トランプのババのような理屈にはなりますが、「契約の枠をはみ出してはいるが、信義則上、別職種に配転させる義務がある」と言うしかないと思います。必ずこれが通るかどうかはわかりません。しかし、理屈をつけるとすれば、そういう形になるかと思います。

つまり、障害者雇用促進法の理念に基づけば、「信義則上、企業には他職種に配転させる義務があるだろう」という理屈にはなると思います。

総合職採用の方を一般職にするというのは、降格ではないにしても契約上の地位を変えることになりますから、非常に難しい問題です。当然ながら給与のダウンが生ずる話になるため、安易に認めたくはないです。ですが、いきなり解雇されるよりは、ましだという考え方もあるわけです。

障害を負ったとしても、訓練を受けたり、それまでの知識や経験により総合職相当の仕事ができると言えるのであれば、障害があることだけを理由に一般職にするのは差別になると思います。

一方で、総合職に期待できるような仕事はできないが、一般事務の比較的軽易な仕事ならできるという場合、「お給料は総合職の分をください」というのは若干困難かもしれません。

イ 配置転換をしないままされた解雇の有効性

この事例でもう一点ご指摘したいと思います。それは、「Xが求める配置転換を行わないままYが解雇した」ということですが、これはどう評価すべきでしょうか。

やはり、これは必要とされる配慮の「適切な配置転換」をしないで解雇をしていますから、この解雇自体は「権利濫用」として無効となるはずです。やはり、この裁判例でも無効となっているように、そういった配慮をせず解雇された場合には「権利濫用」という評価になります。

(4)事例4

これが最後になります。事例4は、先ほどと逆のような感じです。「不当な配転命令」ということで、事例はこういったものになります。「Xは短大の准教授である」と。「中途で視覚障害を負い、自費で補佐員を雇用するなどして勤務を続けてきたが、授業中、学生の飲食や抜け出しなどに気づくことができないということが起こった。Y短大はXを授業の担当から外し、研究室を明け渡して学科事務のみを行うように命じた。Yのこのような命令は有効なのか」という事例です。最近、最高裁の判決が出ましたが、これは「原田学園事件」を素材とした事例です。

ア 配転命令の有効性の判断基準

争点としては、「Yによる、このような配転命令は有効なのか」ということです。

実は労働法の理屈で言うと、労働者には「就労請求権」という権利は無いというのが、ほぼ確立した考え方です。「労働は義務である」ということで、お給料を与える義務と労働力を提供する義務が対価関係になっている契約とされています。乱暴な言い方ですが、雇い主はお給料さえ払っておけば、その人を働かせようが働かせまいが自由だという、そんな考え方があります。

ただし、最近はパワーハラスメントの一環として、過小な要求がパワハラとされています。非常に能力のある、高い能力を持っている人に対して、その能力に見合わない、つまらない仕事を与え続けるというように。例えば草むしりをさせ続けるとか、あとは就業規則を書き写し続けさせるとか、そういったことがパワーハラスメントとされてきています。

「就労請求権」は認めないとされていますが、一方でそのようなつまらない仕事だけを与えたり、追い出し部屋のような所に押し込むことは、パワーハラスメントとして違法となる可能性があります。それなら、すぐにやりがいのある仕事に就けるかと言うと、そうでもないのですが、諦める必要はないわけです。これはパワーハラスメントであり、不当な扱いだということを主張するべきだと私は思います。

ただ、そこに行く前の段階としては、そういった授業を行っていた先生に対し、「単純に事務職をしなさい」という配転命令は有効なのかについては、別個に考える必要があります。

まず、「この仕事は中途失明者にはできないのではないか」という決めつけから、自由になる必要があります。また、それに向けての努力もしなければいけません。

そこで、まずは労働法の理屈で解説してみたいと思います。実は、配転命令には基本的に雇い主側に広い裁量があります。労働者をどこに配置転換させるかは、基本的に、事業主側が自由に決められるというわけです。ただし、その配転命令が業務上の必要性を欠いている場合、つまり必要性がないのに配転命令をしている場合や、あるいは必要性があっても不当な動機や目的による場合や、労働者に著しく不利益を与える場合には、この配転命令は無効となるという最高裁の判例が出ています。

ですから、本当は配転命令の必要がないのに「配転しなさい」と言ったり、配転の必要はあるが不当な動機や目的である場合、例えば閑職に追いやって追い出すために行う場合、あるいは労働者に著しい不利益を与える場合には、この配転命令は無効となることになっています。そして、この事例では裁判官がこんなことを言っています。

「本件では、確かに授業中の学生に問題行動があったとは認定しているけれども、合理的な配慮によりXの問題は解決可能であり、まずは合理的な配慮をすべきである。このような合理的な配慮を欠いたままで配転命令を出したとすると、それは配転命令の必要性を欠くとして無効となる」という、そういう評価をしています。

ですから、最初に従来勤めていた仕事があるとします。でも、障害を負ってそれができなくなってしまった場合、直ちに他の仕事に配転命令を出すのではなく、まずは合理的な配慮を行って従来の仕事ができるのではないかを模索するべきなのだと。この模索をまったくせずに配転命令を出して、つまらない仕事に移したということになれば、やはり「配転命令無効」という評価を受けるのではないかと私は思います。

確かに労働者が勝つ裁判例はありますが、例えば解雇が無効となって労働者としての地位が確認されたとしても、企業に戻って働くかと言うと、多くの場合は働きません。解決金としていくらかお金を貰って、会社を去ることが多いです。解雇無効となって会社に戻るとしても、やはり周囲の風当たりは強いですし、「こいつは会社を訴えた人間だ」ということが、ずっと会社にいる間はつきまとうわけです。

ですから、よほど強い労働組合のバックがあるとか、ものすごい信念を持っている人でない限りは、なかなか会社には残れないです。その意味で、会社に勤め続けたいのであれば、まずは裁判を起こす前にできることはたくさんしておくべきです。労働局の相談は、別に会社と喧嘩をするものではないので、会社に残り続ける可能性は裁判よりも高いと思います。法文上では「労働局への相談を理由に労働者を不利に扱ってはいけない」と規定されていることも、お伝えしておきます。

3 勇気をもって1歩踏み出すことが社会を変える

ここまで4つの事例を検討してきたわけです。それぞれに難しい点はありますが、まず私が申し上げたいのはこういった事例が過去にあり、我々の仲間の障害者が闘っていろいろな理屈を獲得してきたということです。

例えば配転命令であれば、他に自分の働ける職種があって、それに対して職務の提供を申し出ている場合は配置転換をしなければいけないという法理を獲得してきました。例えば阪神バスの事件でも、「午前中の勤務ができない場合は、午後のシフトにしなさい」という判決を得てきています。

まず、こういったことを勉強して、自分のケースで何か使える武器がないかを探していただきたいと思いますし、厚労省のガイドラインも読んでいただきたいのです。そういった武器を用意したうえで、場合によっては弁護士も使っていただきたいと思います。

ただ、泣き寝入りをするのではなくて、自分の道は自分で拓いていかなければいけないということを、こういった裁判例を読んでいると私は思うわけです。そして、何か勇気が出てくるのです。「自分たちの先達はこうして頑張って来たのだ」ということを一つの勇気にして、自分も頑張れるような気がするのです。

健常者の側は、まさか障害者が健常者と一緒に闘える、同じ企業で闘えると思っていないフシがあるし、もしかすると障害者の側も、自分の実力で健常者と一緒に仕事ができるのか、不安を感じているかもしれません。

しかし、こういう現状を変えていくには、積極的に健常者の中に混じって、そこでバリバリ活躍をするのです。その姿を見て、初めて健常者は「障害者も一緒に働けるのだ」ということがわかるし、皆さんの後から来る障害者も「自分の障害があっても、皆で働けるのだ」ということを知っていくわけです。

 最初は風当たりも強いし、いろいろな摩擦もあって大変だと思いますが、是非、皆で社会を変えていく、そんな気概で頑張りたいなと。私も含めて頑張りたいなという思いで、いったん私の講演を終えたいと思います。熱心に聞いてくださって、本当にありがとうございました。

【職場で頑張っています】

『大切なことは、目に見えないんだよ』

会員 金子 元輝(かねこもとき)

再開発中の渋谷は、視覚障害者にとって障害物競走だ。網膜色素変性症で視野がほとんど残っていない僕は、その日も昨日はなかった工事の囲いに驚き、路駐の自転車に引っかかり、歩行者をかわしながら、ようやくオフィスにたどり着いた。

すると、朝一番で開発部のEさんからの内線。
「これから、ちょっと相談に行っていい?」
嫌な予感がする。というか、嫌な予感しかしない。しばらくして、僕の席に来たEさんは、僕の前に数枚のイラストを並べてこう聞いてきた。
「ねえ、このイラストなんだけど、著作権的に問題あると思う?」
進行中のプロジェクトの話であることは、容易に察しがついた。この段階でこの相談ということは、僕の回答次第ではスケジュールの大幅変更もありえる場面。斜め前の席に座る同じ部署のSさんも、固唾を飲んでこちらに注目している。
「うーん、そうですねぇ…」
そう言って、難しい顔をしてイラストに目を向ける僕。周囲を包む静寂。駆け巡る思考。逡巡と決断。そして、僕はこう答える。
「っていうか、視覚障害者にイラスト見せてもわかりませんから!!」
声を押し殺して笑う斜め前のSさん。後日、彼女はこの日の出来事を「コントみたいで面白かったよ」とおっしゃっていましたとさ。

現在の会社に転職して、ようやく1年ほど。視野狭窄と視力低下により一度はあきらめた会社勤めに昨年の夏から復帰し、現在はエンターテインメント関連の企業で法務担当をしています。

40歳過ぎてからの再就職は、想像していた以上に大変でした。会社勤めをあきらめてフリーで仕事をしたり、スクリーンリーダーの存在を知って、四谷の盲人職能開発センターで訓練を受けたりで、実務を離れていた期間も3年半ほど。だから、環境になれるだけで半年、仕事の勘を取り戻すのにさらに半年。入社当初は頼まれたことをこなすだけで精一杯で、自分より数ヶ月前に入社した22歳の新卒社員が、自分のずっと前を歩んでいる大先輩に見えたものです。
「この仕事、もう辞めたい」
そう思いながら出勤した日、そもそも出勤すらしなかった日、色々ありました。それでも今、置かれている環境や現在の仕事を楽しめるのは、Sさんをはじめとする同僚の理解と、敬愛する大先輩の言葉が支えてくれるからです。

同僚の皆は、視覚障害者と接した経験がないゆえに、時として「おいおい!」とツッコミを入れたくなるような発言や行動をすることもあります。でも僕が前向きな提案をすれば応援してくれるし、外部から理不尽な扱いを受けたときは、我がことのように怒ってくれます。僕が彼らを大切に思う限り、彼らも僕のことを仲間として見てくれるのだという安心感があります。

そして、迷った時には、大先輩の言葉。
「俺もね、100回会社を辞めたいって思ったよ。だけどさ、100回この会社辞めなくてよかったって思ったね」
「誰だって、やったことのない仕事をやって出世するんだよ」
僕が何に悩んでいるかを話したわけでもないのに、何気ない会話の中で大事なことを教えてくれるのは、まさに人生経験のなせる業です。理解も言葉も、具体的に目に見えるものではありません。

でも、星の王子さまは言いました。
「大切なことはね、目に見えないんだよ」
目に見えないなら、視覚障害者の得意分野ですよね。そんな大切なものをたくさん見つけながら、これからも仕事を続けたいと思っています。

【お知らせコーナー】

重要なお知らせ!

日本盲人職能開発センターの名称が10月1日から、日本視覚障害者職能開発センターに変更になりました。

タートル事務局連絡先

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ご参加をお待ちしております!!(今後の予定)

タートルサロン

毎月第3土曜日  14:00~16:00
*交流会開催月は講演会の後に開催します。
会場:日本視覚障害者職能開発センター(東京四ツ谷)
情報交換や気軽な相談の場としてご利用ください。

交流会(予定)

11月23日(土) *第四土曜日に行います。
演題:「パラリンピックへの挑戦~諦めたくない夢がある~」
講師:澤田優蘭(さわだ うらん) パラリンピック陸上代表選手
2020年3月21日(土)
演題:「視覚障害者が働き続けるためには?~相談対応から学ぶ~(仮)」
講師:熊懐 敬(くまだき けい) (NPO法人タートル理事・元みずほ総合研究所)

忘年会

12月7日(土)
会場:両国ビューホテル(毎年恒例の会場です)
交通:JR総武線「両国駅西口」徒歩1分
会費:6,000円(予定)

一人で悩まず、先ずは相談を!!

「見えなくても普通に生活したい」という願いはだれもが同じです。職業的に自立し、当り前に働き続けたい願望がだれにもあります。一人で抱え込まず、仲間同士一緒に考え、気軽に相談し合うことで、見えてくるものもあります。迷わずご連絡ください!同じ体験をしている視覚障害者が丁寧に対応します。(相談は無料です)

正会員入会のご案内

認定NPO法人タートルは、自らが視覚障害を体験した者たちが「働くことに特化」した活動をしている「当事者団体」です。疾病やけがなどで視力障害を患った際、だれでも途方にくれてしまいます。その様な時、仕事を継続するためにはどのようにしていけばいいかを、経験を通して助言や支援をします。そして見えなくても働ける事実を広く社会に知ってもらうことを目的として活動しています。当事者だけでなく、晴眼者の方の入会も歓迎いたします。
※入会金はありません。年会費は5,000円です。

賛助会員入会のご案内

☆賛助会員の会費は、「認定NPO法人への寄付」として税制優遇が受けられます!
認定NPO法人タートルは、視覚障害当事者ばかりでなく、タートルの目的や活動に賛同し、ご理解ご協力いただける個人や団体の入会を心から歓迎します。
※年会費は1口5,000円です。(複数口大歓迎です)
眼科の先生方はじめ、産業医の先生、医療従事者の方々には、視覚障害者の心の支え、QOLの向上のためにも賛助会員への入会を歓迎いたします。また、眼の疾患により就労の継続に不安をお持ちの患者さんがおられましたら、どうぞ、当認定NPO法人タートルをご紹介いただけると幸いに存じます。

入会申し込みはタートルホームページの入会申し込みメールフォームからできます。また、申込書をダウンロードすることもできます。
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ご寄付のお願い

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昨今、中途視覚障害者からの就労相談希望は本当に多くあります。また、視力の低下による不安から、ロービジョン相談会・各拠点を含む交流会やタートルサロンに初めて参加される人も増えています。それらに適確・迅速に対応する体制作りや、関連資料の作成など、私達の活動を充実させるために皆様からの資金的ご支援が必須となっています。
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また、「認定NPO法人」は、年間100名の寄付を受けることが条件となっています。皆様の積極的なご支援をお願いいたします。
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本年度も多くの皆様から本当に暖かいご寄付を頂戴しました。心より感謝申し上げます。これらのご支援は、当法人の活動に有効に使用させていただきます。
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認定NPO法人タートルは、視覚障害者の就労継続・雇用啓発につなげる相談、交流会、情報提供、セミナー開催、就労啓発等の事業を行っております。これらの事業の企画や運営に一緒に活動するスタッフとボランティアを募集しています。会員でも非会員でもかまいません。当事者だけでなく、晴眼者(目が不自由でない方)の協力も求めています。首都圏だけでなく、関西や九州など各拠点でもボランティアを募集しています。
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【編集後記】

全国のタートル会員の皆様、いかがお過ごしでしょうか?

今年も、猛暑というか酷暑というか耐え難い暑さの夏でしたね。私は、日ごろお菓子など甘いものをとる習慣はないのですが、今年は、アイスにはまってしまいました。面倒なので、箱入りのアイスを買うのですが、ひとつ口に入れると、おいしさのあまりものの1分程度で消えてしまいます。よせばいいのですが、暑いし、冷たくておいしいし、もう一つぐらいなら…。というささやきに負け、次の一本に手を伸ばします。結果、箱の中は空になるのです…。

空といえば、最近は、降雨が少ないため、給水制限になるというような話は、あまり耳にしないようなきがします。逆に豪雨が襲うことが多く、今年も台風の直撃地域では、とても大変な思いをされたかと思います。報道に接するだけで痛ましい思いがするのですが、更に、知人が被害にあい、生活に影響を受けているということがあり、被害地域にいるわけではない私も一層、感慨にふけることがあります。

報道といえば、少し前の出来事ですが、八王子でのいたたまれない事件。驚きましたね。白杖をへし折るという行為の残虐性に、身が震える思いがしました。被害にあわれた方の心情を察するに、言葉も出ないような気持ちでいっぱいです。世間には、当たり前にいろいろな人がいて、私もとても嫌な目にあったことがありますし、読者の中にも様々な思いのある出来事に遭遇した経験がある方がいるかもしれません。

働き方改革という御旗の下に、様々な検証が行われ、就労しているが、通勤をしないという視覚障害者も増えてくるかもしれません。ですが、生活をする中で、一人で外出ということはなくなることはないはずです。二度と、このような報道に接することがない世界にするには、私たち当事者の一人ひとりが、また、わたくしたちに理解を示してくれる全ての人が、手を取り合っていくことが、大切なのかもしれません。

最近リバイバルヒットしている「クイーン」という英国バンドに、「teotoriatte」という曲があります。フレディは、天国からどんな思いでこの世界を見つめているのかと考えた、残暑真っただ中の夜でした。

さて、今回の「情報誌」はいかがでしたでしょうか? これからも、会員の皆様に楽しんで頂けるような誌面にしていきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します!!

(市川 浩明)

奥付

特定非営利活動法人 タートル 情報誌
『タートル第48号』
2019年8月18日発行 SSKU 増刊通巻第6522号
発行 特定非営利活動法人 タートル 理事長 松坂 治男