事例92 東海在住  30代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:その他 脳腫瘍に起因 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 相談員 具体的作業内容: 視覚障害者からの相談対応。 IT・支援機器の紹介と習得支援。 IT・支援機器をメインとしたサロンの開催 雇用形態:契約社員 テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた。就職活動に備えて訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった 有用だったこと: ・ネット上の求人サイトによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 行政サービスや支援機器、スマホやパソコンなどの最新情報を常に取得し、当事者の方に伝えられるようにしている。 傾聴と状況に合わせた情報提供。 オフィス関連のスキル向上 <後に続く仲間に伝えたいこと> パソコンやスマホのスキル習得は職の幅を広げ、経験や知識は相談支援に役立つ。不安解消や行動のきっかけにもなり、出会いや言葉が人生に大きな影響を与える。多くの人と関わり経験を積むことで、自分のやりたいことや方法が見えてくる。苦手や得意を理解し、必要なサポートや工夫をしながらも、視覚に困難があっても他の人と変わらず挑戦し続けてほしい。行動することで可能性は広がる。 事例93 関西在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:その他 自己免疫疾患 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: ペインクリニック付属心療内科・精神科の外来診療 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・視覚補助具は使っていない 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・専任のアシスタントによるサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 感謝の気持ちを言葉にして伝えることを心掛けている。「すみません」という言葉より「ありがとう」という言葉を使うよう意識している。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 小さな目標を作ってそれに向かって進んでください。それが達成できたら、また次の小さな目標を作って、ひとつひとつ積み重ねてください。そして、いつか気が付けばあなたの大きな目標に近づいていることを願っています。 事例94 関西在住  40代女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:緑内障、その他 網膜剥離ほか 現在の見え方: 全盲(正確には手動弁)、羞明、夜盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 相談員 具体的作業内容: 視覚障害者の支援団体での相談員。様々な相談を受け、気持ちの整理をお手伝いしたり、必要な情報の提供、手続きのサポートなどを行なっている。特に、福祉サービス、就学や就労、心理的なサポートの部分が中心。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) ・その他 盲導犬 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・専任のアシスタントによるサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切り設置等の配慮 ・自席への誘導ブロックの敷設 ・職場内の階段を見やすくする配慮、手すりの設置など ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 ・入室時のセキュリティを解除するための配慮 ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった ・就職活動に備えて訓練を受けた ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 自分にできることは進んでやることと、自分から積極的にコミュニケーションを取ることを心がけている。自分が感じたことや、わからなかったことなどは「相手にわかってもらえるだろう」ではなく、きちんと伝えることで、「どんなことに困っているのか」「どんなサポートを受けたいと思っているのか」ということをしっかり自分から発信することで、「助けてもらえなかった」とか、「必要なかったのに…」といったすれ違いがなくなるように工夫している。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 見えないことで難しいことや困ることはきっとあると思いますが、一方で、見えなくてもできることもたくさんあります。できないということにとらわれるのではなく、できないならできる方法を考える、できないなら違うことをやればいい。そんな思いで、ぜひ自分のできることに目を向けて、自分らしい活躍の仕方を見つけてほしいです。一緒に頑張りましょう! 事例95 中・四国在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:緑内障、角膜疾患、網膜剥離 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: デイサービスの利用者に対して、機能訓練を実施している。 雇用形態:パートタイマー・アルバイト テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・昼食・休憩時のサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・勤務時間を短縮してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 自分のことをできるだけ自分で行おうとしても、どうしても人の目や手を借りなければならないことはあるので、職場での人間関係を適切に保つこと。困っていたら何とかしてあげたいと思ってもらえるように振る舞うこと。ただし、業務上必要なことであれば遠慮はしない。文句も言う。 <後に続く仲間に伝えたいこと> もし就職先がなかなか見つからず悩んでいたら、これはご縁なので、活動を続けていれば視覚障害に理解のある職場はきっと見つかります。周囲の人たちや支援者の手を借りながらでもいいので、気長に活動を続けてほしいです。 事例96 首都圏在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:その他 髄膜炎 現在の見え方: その他 右 手動弁 左 視野障害あり 視力は0.04 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: 患者さんへの検査説明 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 視覚障害があることで「できない」と思うことでも、まずはやってみること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚リハビリを早期に受けたほうがよいこと。困っている時は助けを求めること。 事例97 首都圏在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 相談員 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・単眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト 人的支援の状況: ・その他 書類の確認。職場専用のイントラでの申請代行。必要時サポートを受けている。 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> <後に続く仲間に伝えたいこと> 自己開示。社内でのコミュニケーションが円滑にいくよう工夫する。自分自身の強みを見つけ生かす。常に学びの意識を持つ。周囲への感謝を忘れない。 事例98 中・四国在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 不規則性視野狭窄、羞明、夜盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: 電子カルテを使用して、看護基本情報の聴取と入力 受診相談 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: 支援機器は使用していない 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: 特になし <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 支援してくださる方に感謝の言葉を伝える <後に続く仲間に伝えたいこと> できるだけ早く、職場に見えづらい状況を的確に伝える 事例99 東北在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 4級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:黄斑疾患 現在の見え方: 不規則性視野狭窄、羞明 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: 特別養護老人ホームで、機能訓練指導員をしている。 雇用形態:パートタイマー・アルバイト テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切りの設置などの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> とにかく無理をしない。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 余裕をもって働くことが大事です。 事例100 首都圏在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 事務職 具体的作業内容: 新規プロジェクトの企画運営、新人雇用契約者の指導 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・昼食・休憩時のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート ・外部の業者によるサポート ・その他 ジョブコーチ、就労支援アルバイト 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> できないことはできないとしっかり伝え、サポートの必要な部分についてはどのようなサポートが必要かを伝え依頼する。そのためには、自ら支援制度等を調べ、提案する。また、日頃からコミュニケーションを密にとり、人間関係には十分に注意している。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 事務作業でできない部分が出ることは避けられません。その際、問題を伝えつつサポートを依頼できる仕組みを提案することが重要です。そのためには、日頃からのコミュニケーションと円滑な職場内の人間関係が不可欠だと考えます。 事例101 中・四国在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜剥離 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 医療・福祉関連事業 職種: 医療職 具体的作業内容: 整形外科でのリハビリ(理学療法)。 雇用形態:契約社員 テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・通勤時のサポート 環境上の配慮: ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> PCスキルや知識・技術の維持・獲得を心がけている <後に続く仲間に伝えたいこと> 慌てずに、周囲の意見と自分のしたいことをきちんと把握すること