事例83 首都圏在住  30代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、羞明、夜盲 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 事務職 具体的作業内容: データ入力、データ管理 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 挨拶やお礼など、基本的なコミュニケーションを大事にすること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 必ず味方になってくれる人は見つかると思います。 事例84 関西在住  30代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症、黄斑疾患 現在の見え方: 中心暗点、求心性視野狭窄、夜盲 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 事務職 具体的作業内容: 大学におけるキャリア支援課の事務全般、及び学生のキャリアコンサルとキャリア支援プログラムの企画と運営など 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト ・OCRソフト ・タブレット端末iPadがあれば、文字の拡大から文字の読み上げ、さらには人工知能アプリで入力代行など多くが視覚補助となる。 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・職場産業医による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 何よりも中途障害ではこれまでのキャリアを最大限生かすことを考え退職しないこと。次に人事だけでなく自分の部門の上司や同僚との人間関係を大切にし、お願いできることを話せる勇気を持つこと。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 希望をもって相談してほしい。事例研究から、多くの対処法が身につくと思います。 事例85 中・四国在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 教職 具体的作業内容: 授業(資料作り、実際の授業、答案採点、レポート採点など)、科学研究(PCでの文書作成、学生の研究指導など) 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: 白杖、PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: 支援機器は使用していない 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・専任のアシスタントによるサポート 環境上の配慮: ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・自分のやりたい仕事ができなくなった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> ICTの知識を最新に保つこと <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分で限界を決め込まずに、前例に学んでください。猛者はたくさんいます。 事例86 首都圏在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:緑内障、角膜疾患、網膜剥離 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 相談員 具体的作業内容: スクールカウンセラー。この業種で働いている途中で、視覚障害になった 雇用形態:その他 会計年度任用職員 テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: サポートは受けていない 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・懸命にがんばっても効率が上がらず残業が増えて消耗した 有用だったこと: ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 不安定な会計年度任用職員という雇用形態なので、常に理解を得られているかを心配している。数年で管理職が変わるので、その度に気を遣っている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 苦労の連続ですが、他の視覚障害者の人の雇用を増やす意味でも様々な業種で頑張っていきたい。 事例87 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:黄斑疾患 現在の見え方: 中心暗点、羞明 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 作業職 具体的作業内容: 校舎、校内敷地の清掃?整理整頓?修繕 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 支援機器: ・拡大読書器 人的支援の状況: サポートは受けていない 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった 有用だったこと: ・ネット上の求人サイトによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 首尾一貫して無事故・無病息災を心掛けています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 時代背景を鑑み、人材紹介会社への登録は必須です。お済みでない方は、タートル、支援機関にまずはご相談ください。 事例88 九州沖縄在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:緑内障 現在の見え方: 不規則性視野狭窄、羞明 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 教職 雇用形態:フリーランス テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・タブレット端末 ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 視覚障害のためにできないことを職場や同僚に理解してもらい、サポートしてほしいことを具体的にお願いしている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 退職する前に自立訓練施設や眼科・産業医、タートルなどに相談してほしい。 事例89 北海道在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:その他 白内障 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 教職 具体的作業内容: 授業、教材作成、採点・評価、生徒指導・相談等々 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・点字ディスプレイ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・(部分的に)専任のアシスタントによるサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: 特になし <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 趣味または、興味・関心事の社会的活動や勉強会など、職場以外の自分の居場所を複数持つことにより、精神状態を切り替えていた。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 頑張りすぎないこと。大変さをため込み、抱え込まないこと。その人なりのやり方があると思うが、上記の私の回答も参考にしてほしい。 事例90 東海在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:その他 顔面挫傷(眼球破裂・眼球癆) 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 教職 具体的作業内容: 大学の非常勤講師。一般教養(講義科目と演習科目を担当) 雇用形態:契約社員 テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・通勤時のサポート 環境上の配慮: ・その他 教卓キーの手渡し(通常は保管庫から自分で取り出す)。出勤簿への押印の代行 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・その他 前職前に障害者職業能力開発校の委託訓練を受けた。前職後は、業務及び業務外の双方で自習した 苦労したこと: ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・その他 現職(教職)と前職(システムエンジニア職)では、特に苦労したことはない。前々職(失明前)は主業務が機械設計・測定・実験作業であり、自分から再就職(情報処理技術者)を選択した 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 1.代筆・代読など周囲へ依頼する作業は、できるだけ早く依頼するようにしている。そのために、依頼事項のまとめなどの準備は前倒しで行うことを意識している。 2.雇用支援機関や訓練機関との人的なつながりの確保、最新の支援技術に関する情報収集は、業務スキルの一つとして熱意をもって取り組むようにしている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚支援を含む情報処理技術のスキルは、どの職種でも役立つ重要な能力です。就職の機会は多くないため、十分なスキルがないと、その少ないチャンスを生かせません。必要なスキルを身につけて、一人ひとりがチャンスを逃さないようにしてほしいと思います。 事例91 東海在住  60代以上女性 身体障害者手帳等級: 5級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:黄斑疾患 現在の見え方: 中心暗点、羞明、その他 色弱 勤務先の業種: 教育・学習支援業 職種: 教職 具体的作業内容: 中学国語4〜5クラスの授業(教科書本文はゴシック体の拡大文字に変換)、音声パソコンてプリント作り、拡大読書器で採点、生徒一人一人に5個の観点にABCを表記した上で5段階評価をする成績処理、部活、分掌等。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・単眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) その他 プレクストーク 支援機器: 支援機器は使用していない 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・その他 知り合いの盲学校教員による、職場の音声パソコン作動のサポート 環境上の配慮: ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切りの設置などの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・視力は低下したが、身体障害者手帳には該当せず苦労した ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・懸命にがんばっても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・その他 手書き文字の読み書きが多かった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・職場関係者による支援 ・労働組合による支援 ・その他 生徒による筆記具等の支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 工夫したことの1つ目は、春休み中に、今の自分に出来ることと出来ないことを校長にはっきり伝えたことである。2つ目は、校長の許可を得て、4月当初の会議で全職員に、自分の見え方をプリントで説明したことである。3つ目は、中国鍼の治療で目の奥の痛みをずっと取ってきたことである。心掛けたことは、楽しくわかりやすい授業をすることである。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 生徒の顔がのっぺら坊に見えることが急激に増えた時期に、「やめたら」と言われたくなくて誰にも言わなかった。精神科を勧められたが解決しないと思った。その後退職を考えた時期に、親が人工透析でアルツハイマーで在宅介護だった。しかし、タートルで紹介されたロービジョンケアの熱心な医師のおかげで固視訓練に成功し、拡大読書器で全く酔わなくなり、復職できた。どうぞ、皆様に良い出会いがありますように。