事例37 首都圏在住  20代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:レーベル視神経症 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 所属する部署の庶務・労務業務 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・就職活動に備えて訓練を受けた ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・システム上の問題でテレワークを認めてもらえなかった 有用だったこと: ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 具体的に配慮してもらいたい事項を、上司との面談時などに口頭・書面で伝えている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分のやりたいことを諦めず、身近な人や自分の所属する学校や組織、支援機関などを頼りつつ、頑張ってください。 事例38 首都圏在住  30代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 輪状暗点、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・就職活動に備えて訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった 有用だったこと: ・ネット上の求人サイトによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 無理をしないことです。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 諦めなければ何とかなると思います。頑張ってください。 事例39 首都圏在住  30代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 不規則性視野狭窄、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 人事関連の事務処理や統計業務、問い合わせ対応やメール対応等の一般事務 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・就職活動に備えて訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 自分のことを過大評価も過小評価もせず、真摯に仕事に取り組むこと。困った時に相談しやすい関係を築くために、周囲の方々とのコミュニケーションを大切にするよう心掛けています。 事例40 関西在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:緑内障、その他 無光彩症 現在の見え方: 中心暗点、求心性視野狭窄、羞明 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 裁判事務 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・単眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮、入室時のセキュリティを解除するための配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・残業は免除してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・就職活動に備えて訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・視力は低下したが、身体障害者手帳には該当せず苦労した ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 周囲とのコミュニケーション。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 社会で働いていくということは、いろいろと大変で挫けそうになることも多々あります。ただ、時には手を差し伸べてくれる人がいたり、自分自身成長を感じられる瞬間もあり、悪いことばかりではありません。1人では抱えきれないこともあるかもしれません。そういう時はみんなで乗り越えていきましょう。 事例41 東海在住  40代女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 全盲(中心暗点から進行) 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 事務職と相談員としての業務を行っている。PCを使っての書類作成業務に加えて、相談者との相談業務とそれに伴う記録作成事務。各所への同行なども行っている。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・その他 盲導犬 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・訓練施設による支援 ・職場関係者による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 年度はじめに「私の見え方シート」というタイトルで、自分の見え方やできること、できないことについて必ず周囲と共有している。「ここまではできるけど、この部分についてはお手伝いいただきたい」と具体的に説明するようにしている。また、その都度、同僚には具体的に伝え、サポートを受けた時には、必ず謝辞を述べ、「自分は障害があるからやってもらって当たり前」というスタンスは絶対に取らないようにと心掛けている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> どうしてもできないことはありますが、少しの工夫や周囲のサポートで乗り切れることの方が多いと感じています。まずは、周囲に自分の状況をわかってもらい、自分が相手に積極的に関わることで、「理解」から「実感」してもらうことが一番だと感じています。障害あるなしにかかわらず、あなたが周囲にできることもたくさんあります。それを大事にしていただきたいです。 事例42 東北在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、羞明、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 主な仕事は、パソコンを使用しての情報収集、情報分析、企画立案である。 最も多い作業は、データを様々な切り口で分析し、問題点を見つけ、解決に向けアクションを考えること。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・点字ディスプレイ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・入室時のセキュリティを解除するための配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 心掛けていることは、次の3つである。 1.自分の見え方やできることとできないことを整理し、上司、同僚に共有すること。 2.上司、同僚から気にかけてもらえるように、日頃からコミュニケーションをとる努力をすること。 3.周囲に認めてもらうため、一生懸命仕事をすること(自己研鑽を含む)。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚障害者が働くのは、健常者に比べてストレスが多いと感じている。 このストレスを乗り越えるため、私は次の3つの「喜び」を大事にして働いてきた。 働くことができる喜び、仕事をとおしてできることが増える喜び、そしてチームの役に立てた喜びである。 皆さんも仕事で得られる「喜び」を意識して働いてみてはいかが。 事例43 中四国在住  40代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 医療職 具体的作業内容: 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・労働組合による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 頑張りすぎない。人にうまく頼って感謝する。 <後に続く仲間に伝えたいこと> タートルさん、眼科医の存在に救われました。つらい事も多いですが、1人じゃないです。あきらめずチャレンジしてみてください。 事例44 北陸甲信越在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、羞明、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 情報誌の校正作業、ホームページのアクセシビリティ関連の保守・点検作業など 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切り設置等の配慮 ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・残業は免除してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・就職活動に備えて訓練を受けた ・その他 就職後、病気休暇で訓練を受けた 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 可能な範囲で短期・中期目標を立て、それに向かって努力をすること。その結果を見直して新しい目標設定を再度行い、自己を高め、業務への対応を工夫していくことを行っている。その繰り返しで一つ一つ技術や支援を獲得している。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分を振り返ってみてほしい。自分でできなければ支援者の手を借りて自身の状況や可能性を見つめ直し、何ができるのか、何が難しいのかをしっかり見極め歩みを続けてほしい。悩んだ際は決して一人で結論を見つけないでほしい。自ら手を伸ばし、皆と手をつないて歩んでほしい。 事例45 北海道在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 職員の健康管理 、共済組合に関する事務 、健康診断の受診日程の調整 、検査結果の通知 、共済組合の住所変更などの書類の審査 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・その他 ドキュメントスキャナー 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・自席への誘導ブロックの敷設 ・職場内の階段を見やすくする配慮、手すりの設置など 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・有給休暇を消化しながら訓練を受けた ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> あきらめないで話をすること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 見えなくなるとできないことばかりですが、見えなくてもできることがあります。見えていた時と同じものを求めずに、見えなくてもできることがあることに気づくと、状況が変わるかもしれません。時間はかかるかもしれませんが、あきらめずに探してみてください。 事例46 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:レーベル視神経症 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 事務職で、今は他の職員が作成する行政文書の事前校閲を主にやっています。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 模索中です。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 困難があってもお互い頑張りましょう。 事例47 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:緑内障 現在の見え方: 不規則性視野狭窄 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 事務処理、進捗管理など 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・タブレット端末 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 仕事以外の余暇を使って趣味を楽しみリラックスすること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 同じ境遇の人とのコミュニティを頼った方がよいです。 事例48 北陸・甲信越在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:緑内障 現在の見え方: 中心暗点、羞明 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・その他 拡大読書器は据置式と携帯式を使用 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・有給休暇を消化しながら訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 電車通勤をしているが、荒天や猛暑の日は駅から職場までの徒歩がつらく、家族の送迎やタクシーで対応している。年齢的に管理職となり、現場を離れて事務中心の業務となったため、支援機器を使えば机上業務は可能になった。一方で、人事・施設管理など責任が増し、現在の見え方では心身に負担を感じる場面も出てきた。上司と相談し、勤務地と職務内容を変更してもらい、働き続けている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 中途視覚障害の場合、できないことが増え、自信や自己肯定感を失いやすくなります。1人で悩まず、早めにロービジョン外来や支援センター、当事者会、タートルなどに相談し、有用な情報やサポートを受けることをおすすめします。障害の受容には時間がかかるため、焦らず一歩ずつ進むことが大切です。 事例49 東北在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 5級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 電話受付 会議室準備 文書作成補助 図書貸出返却の受付等 雇用形態:契約社員 テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・遮光眼鏡 支援機器: 支援機器は使用していない 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を短縮してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった 有用だったこと: 特になし <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 職種にこだわらず、通勤出来る所で働く。 <後に続く仲間に伝えたいこと> とにかく「タートルと繋がっていること」です! 事例50 北陸・甲信越在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点、輪状暗点、羞明、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター 人的支援の状況: ・その他 どうしても自分にサポートが必要な時のみ、係長に依頼をしていた。 環境上の配慮: ・その他 壁や床に目印のシールを貼ること。 勤務時間・通勤の配慮: ・残業は免除してもらっている ・その他 雪のため帰るのが困難な時は、自分の休暇を使って早退することを許可されていた。 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた ・その他 訓練用の特別休暇がなかったため、病気休暇で訓練が必要との診断書を得て提出した。 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・職場関係者による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 仕事への意欲や態度は周囲に劣らないよう意識し、出勤や休暇で迷惑をかけないよう配慮していました。手を借りず自力で対応することを心掛け、質問や相談は相手の状況を見てタイミングを考えて行っていました。しかし、無理を続けるうちに限界を感じたため、周囲に配慮しつつ自分も無理をしすぎない、バランスの良い気遣いが大切だと実感しました。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚障害者を取り巻く環境は以前より良くなっていますが、職場ではすべてに配慮が行き届いているとは限りません。直属の上司の理解の有無が運命を左右すると感じます。ただ、理解を求めることで道が拓けることもあるはずです。職場や個人の状況は様々なので、情報収集や学びを大切にし、自分に合った働き方を模索することが大切だと思います。あきらめずに頑張っていきたいです。 事例51 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点、輪状暗点、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 技術職・研究職 具体的作業内容: 職場の情報アクセシビリティ確保の推進、障害の支援技術の照会、情報システムの障害対応、WebコンテンツのJIS X 8341-3:2016への対応と、コンテンツ作成方法の情報提供、視覚障害等の就労の方法のアドバイス 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: 白杖、遮光眼鏡、タイポスコープ(黒いモノサシ、サインガイドなどを含む)、ルーペ・拡大鏡、単眼鏡、PC画面による調整(拡大・色反転など)、その他 iPhoneによる拡大など 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・タブレット端末 ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・専任のアシスタントによるサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・昼食・休憩時のサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 ・その他 職場内の障害者就労や、障害学生支援をテーマとする研究室の先生の全面的な協力が得られたのは、とても有効でした。 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 多くの人は視覚障害者がどんな仕事をできるか想像できません。そこで職場の情報システムに対応を依頼したリ、iPhoneなどの便利な支援技術も活用しています。自分にできることを示し、同僚と調整して仕事を分担。単独でできる仕事もありますが、多くは視覚が必要なため、同僚と役割を細かく分けて協力しています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚障害者が「見る」必要のある仕事を任されれば、当然難しいでしょう。しかし、見なければならない部分を他の人が補えば、できることは多くあります。特性に合わせて仕事を工夫すれば、活躍の場は広がります。組織での対応は簡単ではありませんが、理解を得ながら進めていきましょう。 事例52 関西在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:黄斑疾患、角膜疾患 現在の見え方: 中心暗点、羞明 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 技術職・研究職 具体的作業内容: 技術的報告書の読解・審査 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・単眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト ・その他 モニターアーム 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった ・その他 十分な訓練が受けられないまま訓練期間が満了した。 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・その他 中期的に比較するとできないことが増えていき、精神的に消耗した。 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・職場産業医による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 障害者雇用に関する関係法令等を勉強し、根拠を持って、的確に支援を要望している。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 現在、体調不良で休職中です。職場との交渉は心身の負担が大きく、業務の負担も重なることがあります。支援者や家族としっかりつながり、制度やその背景を理解しながら情報を集め、粘り強く職場とコミュニケーションを続けてください。また、趣味や仲間など、仕事以外で支えになることも細く長く大切にしてください。 事例53 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:緑内障、黄斑疾患、網膜剥離 現在の見え方: 中心暗点、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 国有財産の管理処分や訴訟に係る検討や事務作業 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・大画面のPCモニター ・タブレット端末 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・テレワークを増やしてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 物事をなるべくシンプルに考えて、ストレスを溜め込まないように心掛ける。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 心の健康を保つことも重要です。そのためにできることは何か時々自問してみましょう。 事例54 関西在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:レーベル視神経症 現在の見え方: 中心暗点、不規則性視野狭窄 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・タブレット端末 人的支援の状況: ・サポートは受けていない 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・有給休暇を消化しながら訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・ 自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 障害者であることを自覚しつつも、それに甘んじることなく、自分でどこまでできるかを考え、できることをやっていこうとしている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚を失うことは大変大きなハンディだが、それを補う能力や機器の補助があるので、自分の可能性を信じてほしいです。 事例55 東海在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:緑内障、網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点、求心性視野狭窄、羞明、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: その他 院内図書室貸し出し業務など。1人のみ勤務。 具体的作業内容: 院内図書室の外来患児閲覧、院内貸し出し業務、病棟での図書返却の管理、5千冊の蔵書台帳、貸出記録等PC エクセルでの入力、実際の図書の管理、修理、季節ごとの本の紹介、グリーフケア図書の紹介など図書室業務。 雇用形態:パートタイマー・アルバイト テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・支援機器は使用していない 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・その他 もともとの就業時間が短い。 訓練受講に際しての配慮: ・有給休暇を消化しながら訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 視覚障害を持つ者としてのスキルアップ、許容範囲内での環境整備、周囲の方との良好なコミュニケーションを心掛けていました。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚障害者というだけで「何もできない人」と捉えられることも。「何ができて、できなくて困ることは何か」ということを具体的に提示することが理解に繋がると思います。上司の異動で、毎年、年度初めに挫けそうになることが多かったのですが、それでも笑顔で接するように心掛けました。タートルの相談窓口の電話番号はお守りでした。何度もクールダウンに付き合ってくれました。結果的に職場を閉める最後の大仕事も任せてもらえました。 事例56 東北在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:緑内障 現在の見え方: 不規則性視野狭窄 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 技術職(薬剤師) 具体的作業内容: 新型コロナ等感染症対策として、住民に対する感染症まん延防止のための調査・指導や、人事管理として職員の服務規程管理やパート職員採用等。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・スマホ 環境上の配慮: ・職場内の階段を見やすくする配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・その他 通勤可能な勤務地とすること 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた(政府系訓練施設) 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・顔の判別ができないため人を覚えにくい。資料文字が見えにくく、会議等のスピードについていけないこと ・ 一年間であるが、降格となり業務がほとんどなくなったこと 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 見えていないことを周りの方にはっきり伝えること <後に続く仲間に伝えたいこと> 中途視覚障害は周囲の理解を得にくく、自分でできるだけ解決することが信頼につながります。不安は常にありますが、同じ障害者との交流や体験談は苦悩を和らげます。タートルの会や地域交流会に参加し仲間を増やすことが大切です。障害が進んだ際には白杖歩行訓練や支援機器の使い方を覚え、「見えなくなっても大丈夫」と思うことが重要です。先輩の「仕事は何があっても辞めるな」という助言が支えになりました。 事例57 首都圏在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 輪状暗点 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 役所内全体の内部管理とメールは役所内システム、個人情報に係る業務は専用のクローズドシステムを使用。個人情報は紙情報。サポートを受けている範囲は外部に送る個人情報のチェック。一般職員の概ね3割程度の業務。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト ・タブレット端末 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート ・通勤時のサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切り設置等の配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・残業は免除してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: 苦労したことはない 有用だったこと: 特になし <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 視野が狭い中で、たくさんの書類をこなしていく時に、複数業務がごちゃごちゃにならないよう、1業務1ファイルにまとめ、かつ、複数業務を卓上で処理しないことを心掛けています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 少しずつ病状が進行して、業務能力が落ちていくことに対する焦りなどがあると思いますが、今行なっている仕事が自分の将来のスキルアップにつながるかどうかをよく検証し、日々スキルアップや周囲とのつながり力をつけ、将来のリスクを少しでも回避してほしいと思います。 みんなで力を合わせてより良い生活を送っていきたいですね。 事例58 北関東在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 5級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:緑内障 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 技術職・研究職 具体的作業内容: 退職前は農業の試験研究や技術指導。退職後再雇用で見学者への業務内容説明。 雇用形態:その他 正規社員を定年後、再雇用職員 テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・大画面のPCモニター ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・その他 ワンオペの回避と業務量の軽減 環境上の配慮: ・その他 共通利用PCの視覚障害者用環境設定を維持すること(ディスプレー黒色背景、拡大文字、マウスポインターの拡大) 勤務時間・通勤の配慮: ・その他 勤務時間は30分早出30分早上がり(誰でも申請可能な勤務形態)だが、これがないと往復のバスが満員電車並に混んで、視覚障害者にはつらい状況になる。 訓練受講に際しての配慮: ・その他 希望したが、研修扱いしてくれなかったので受講ができないでいる 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> タートルでアドバイスいただいた「上司への要望は文書で」ということは効果があったと思うので、これからも実行していきたい。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 同じ症状を経験した先輩のアドバイスが大変役立ちました。タートルでの情報交換をお勧めします。 事例59 首都圏在住  60代以上女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点、求心性視野狭窄 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 障害を持つ非常勤職員の働く部屋のスタッフとして、自己も障害を持つ立場からアドバイスをしたり、一緒に作業をするいわゆる障害者支援業務である。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント ・懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・残業は免除してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 職場の人の話を丁寧に聞き、自分が相手に話す時はわかりやすい説明をするように心掛けています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> うまくいかない時は同じ障害を持つ仲間、団体、就労支援の専門の先生などに相談すれば、ほとんど切り抜けられると思います。 事例60 首都圏在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 50代 疾患名:緑内障、視神経疾患、網膜剥離 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 技術職・研究職 具体的作業内容: データ整理、資料作成 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・単眼鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を短縮してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・ハローワークによる支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 出来る範囲で可能な限り努力する姿勢と、周囲への感謝の心を忘れない。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分以外にはもっと症状が悪い中、努力している方がいることを思うと、自然と頑張れると思います。 事例61 関西在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、輪状暗点、羞明、夜盲 勤務先の業種: 官公庁・公的機関 職種: 事務職 具体的作業内容: 会館施設の予算編成・執行に関すること。会館予約システムの入出力。総合文化祭の開催運営。ビル管理システムの入札・契約に関すること。 夜間勤務職員への会館予約システム運用を指導。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・タイポスコープ ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト ・OCRソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・その他 全視協の盲学校の先生やその仲間が相談に応じてくれた。 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 電話対応は、常に丁寧に応対し、クレーム対応が生じた場合の早期解決に努める。 パソコン操作におけるショートカットキーを習熟すること。予約システム等のマニュアルの作成。財務会計システムの使い方の工夫を心掛けること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> タートルの仲間とのつながりを深めるとともに、自分が中途失明を乗り越えたと感じたら、困った仲間が現れたら支援する。ロービジョン学会並びに視覚障害リハビリテーション協会の情報を注視するとともに、医療職並びに福祉職の方々との親交を深める。仕事以外の共通する趣味仲間との親交の継続を図る。