事例17 関西在住  40代女性 身体障害者手帳等級: 4級 不自由を感じたのは: 10歳未満 疾患名:緑内障、その他 外傷性白内障、無水晶体 現在の見え方: 不規則性視野狭窄、その他 眼球痙攣による視界の揺れ 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 事務職 具体的作業内容: PCによる事務作業(各種社内申請の受付、事務用品発注、社内外慶弔、社内案内等)、本社内の設備維持管理業務、その他 総務関係の庶務等 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・その他 一部フリーデスク制のためレイアウト変更になった際の声掛け、座席表確認場所の確認 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・適当な訓練施設が居住地の近辺にはなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・その他 職場以外で話を聞いてくれるところが欲しかったが、時間の都合が合わなかったり、同じ境遇の人と出会えなかったり、出会えても自分の話は聞いてもらえず、相手の話ばかり聞くことになり、精神的・体力的に消耗するので諦めた。 有用だったこと: ・ネット上の求人サイトによる支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援、地元の支援機関・団体による支援 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 一つ一つ誠実に対応し、困ったことは早めに相談する。相談時は自分なりの対策を考えた上で交渉し、全てを一人で解決しようとしない。難しい場合は、担当を変えてもらうか分担を提案する。睡眠や食事など基本的な健康管理を意識し、必要に応じて早めに医師に相談する。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視覚障害といっても見え方やできることは人それぞれです。困ったときは一人で抱え込まず、誰かに相談してみてください。専門家でなくても構いません。周囲の力を借りながら少しずつ困りごとを解決していくことで、自分なりの生活の基盤ができていきます。無理せず、時には休みながら、その基盤を信じて積み重ねていけば、今より少し楽に暮らせるようになるはずです。 事例18 首都圏在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:レーベル視神経症 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 営業職 具体的作業内容: 電話、メールを使用し商品の仕入れ、販売業務が主。他に業界マーケット情報の収集、情報作成を行っている。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・照明上の配慮・まぶしさを軽減するための間仕切り設置等の配慮 ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 以前できていた移動や訪問については上司、同僚の力を借りて対応し、事務処理などできないことは諦め、できる業務に精一杯取り組むようにしている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 見えない、見えづらくなり働くことは大変ですが、職業訓練所でPCトーカーの使い方、ワード、エクセル、アウトルックの使い方を習得したことにより職場に戻り業務ができるようになりました。以前のような仕事とはいかないことも多いですが、できることを少しづつ増やしていき、働き続けることが視覚障害者の仲間のためにもなると信じてます。是非、職場復帰、新規就労に向け訓練をして、働き続けてほしいと願っております。 事例19 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 中心暗点、求心性視野狭窄 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 事務職 具体的作業内容: PCによる売上高の分析  議事録の作成 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・サポートは受けていない 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援、ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 職場では良好な人間関係を第一に考え、自分のできる範囲で一生懸命取り組む姿勢を理解してもらうよう努めている。また、できないことは正直に伝えられる環境づくりも大切にしている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分には限界があることをはっきり認識して、ひとに助けてもらいながら仕事を進めているということを認める。また、一生懸命に仕事をしている姿を認めてもらう。 事例20 東海在住  50代女性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 事務職 具体的作業内容: 電話応対、勤怠管理 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・外部の業者によるサポート 環境上の配慮: ・エレベーターなど、職場までのアクセス上の配慮 ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 「ここは任せて」 「ここだけ助けて」 遠慮しないで配慮してほしいことを伝えること どんな些細な仕事でも確実に続けること 自分の得意分野ではスペシャリストであること <後に続く仲間に伝えたいこと> 自分がどうありたいか、手に入れたい未来に覚悟を持ち、人としての自分らしさを大切に、謙虚に真摯であること。あきらめたら終わり、継続は力なり。努力は裏切らない。目の前の人やことに丁寧に向き合ってきた日々が、今に繋がっていると感じます。2014年にタートルと出会い、夢のように生きる先輩に刺激を受け、大泣きした帰り道もありました。支え合える仲間の存在が本当に大きかった。一期一会に感謝、応援しています! 事例21 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 事務職 具体的作業内容: 販売企画。 社会貢献活動の運営。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ほとんどテレワーク 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・OCRソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・会議室など社内の移動の際のサポート ・昼食・休憩時のサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 ・社内ネットワーク上の配慮(情報アクセシビリティ上の配慮など) 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・テレワークを増やしてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった 職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・その他 会社への障害開示のタイミング。結果的には、問題なかったが、不利な扱いを受けるのではないかととても不安であった。 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・職場関係者による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 自分ならではのできることをどのように実現して成果を出すか、ここに最も注力すること。相手の立場を考えた上で、自分の主張、相談、依頼をすること。依頼事項がうまく伝わっていない時、どうすれば理解してもらえるかを考えること。障害に対して、理解しようとする人、しようとしない人がいることを意識して、支援者を増やすこと。相手のメリットを考えること。感謝を述べること。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 障害の社会モデルを理解し、視覚障害があるからこそできる自分ならではの仕事を、主体的に探求し続けてほしい。それが自身の成果となり、社会のため、次に続く人のためになると思う。困難に直面したり、権利の主張が認められない時には、暖簾のようにしなやかに自分を見失わないこと。視覚障害のある自分をありのままに認めて、したたかに目標に向けて歩み続けてほしい。理想はそれぞれ。長期的視点を持ち続けてほしい。 事例22 北関東在住  60代以上男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:緑内障 現在の見え方: 中心暗点、不規則性視野狭窄 勤務先の業種: 商社・卸・小売業 職種: 事務職 具体的作業内容: 小売業における商品の発注、納品、在庫管理、販売に至るものの流れと、それに付随するデータ管理。具体的には、取引先との納品や返品に伴う商品と伝票の照合、商品在庫の適正化、販売金額の正確な把握など。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・PC画面拡大ソフト ・タブレット端末 ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった 有用だったこと: ・ネット上の求人サイトによる支援 ・職場関係者による支援 ・労働組合による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 一番大切なのは、自分の体の状態を正しく多くの人に理解してもらうこと。その上で「できること」「できないこと」を伝え、対応策を提案しチームで共有すること。無理をしても、自分にも周囲にも負担になるだけです。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 苦しいかもしれませんが、まずは自分の状態を受け入れることが大切です。私を含め、障害があっても働き続けている人は、全てを乗り越えたわけではありません。どうにもならないことを考えても何も変わりません。今の自分にできることを一つずつ見つけ、前に進む。その積み重ねが力になるのではないでしょうか。障害の有無にかかわらず、思いどおりにいかないのが人生ですが、それでも前に進むのです。