事例107 首都圏在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、夜盲 勤務先の業種: 宿泊・生活関連サービス業 職種: 事務職 具体的作業内容: 今年の4月より管理部へ部署異動となる。主には人事・総務関連業務の補佐、一部経理業務の補佐を行っている。(PC Talkerを使用しての業務実施) 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・残業は免除してもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・研修扱いまたは公務扱い・職務免除扱い、特別休暇扱いで受けさせてもらった 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・地元の支援機関・団体による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 常に前向きに考えるよう心がけています。与えられた業務以外でも、弱視でもできることは率先して行っています(例:外線電話対応など)。また、訓練施設で習ったPCスキルは定期的に復習しています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 網膜色素変性症と診断された時は大きなショックで、仕事を辞めることも考えました。しかし、タートルの会と出会い、相談や職場訓練を通じて多くの支えを得られました。家族や職場の方々への感謝を忘れず、つらいことがあっても前向きにできることから少しずつ取り組むことが大切だと感じています。 事例108 首都圏在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:レーベル視神経症 現在の見え方: 中心暗点 勤務先の業種: 宿泊・生活関連サービス業 職種: 事務職 具体的作業内容: 会議議事録の作成、月1回の職場討議の通達・集計、エコキャップの分別確認・発送取りまとめ、郵送物の記録・発送対応 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・その他 育児休暇を利用して訓練を受けた(約10カ月) 苦労したこと: ・中途で視力が低下したが、職場の配慮がなかなか得られなかった ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・システム上の問題でテレワークを認めてもらえなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 目の前の仕事のみこなし、それ以上は求めない。業務が何もない日でも割り切ってインターネットをする。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 企業や組織によって配慮や気づかいは変わると思います。また、自分の心も何度も折れそうになると思います。ですが、タートルの相談員や訓練施設の方々に助けてもらいながら就労を続けることができています。 特にタートルは就労支援の駆け込み寺なので、困ったことがあればすぐに相談していきたいと思います。 事例109 関西在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 2級 不自由を感じたのは: 生まれつき見えづらかった 疾患名:緑内障 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 宿泊・生活関連サービス業 職種: 事務職 具体的作業内容: 弱視として入社し、拡大読書器、拡大ソフトを用いて、営業部門で営業事務全般の業務をするが、視力低下が進み、目を使う業務が困難になった。現在は同部門で音声ソフトを用いてエクセルでのデータ集計を担当している。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: ときどきテレワーク 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・勤務時間を繰り上げまたは繰り下げてもらっている ・テレワークを増やしてもらっている 訓練受講に際しての配慮: ・有給休暇を消化しながら訓練を受けた ・週末の休日または夜間を利用して自費で訓練を受けた 苦労したこと: ・視覚障害というだけで就職先がなかなか見つからなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・支援機器・ソフトウエアなどの販売業者による支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 視覚障害が原因でできないことはあるが、仕事をする上で上司や同僚に自分ができること、サポートしてほしいことなどを明確に伝え、担当業務は最後まで正確にやり切るようにしている。配慮やサポートを受けた時は感謝の気持ちを伝えることも大切である。やらなければならないことを誠実にやり切ることで信頼関係ができた。困った時にサポートをしてもらえるように心がけている。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 視力低下が進んでも、人生の終わりではない。仕事を辞める必要はない。合理的配慮は法律で義務化されている。パソコンの画面読み上げソフト、パソコンの画面拡大ソフト、大画面のモニターなどの支援機器の導入をはじめ、さまざまな配慮を受け、工夫することで働き続けることができる。自分自身の現状を正確に把握し、社内方針や環境、上司や同僚に誠実に向き合い、今できることを確実に取り組むことが大切である。