事例1 首都圏在住  30代男性 身体障害者手帳等級: 5級 不自由を感じたのは: 20代 疾患名:網膜色素変性症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、夜盲 勤務先の業種: 建設・不動産業 職種: 営業職 具体的作業内容: 1.電話とメールによる新規顧客開拓 2.Zoomによる顧客相談 3.Zoomで提案 4.Zoomで契約 5.融資審査、決済タスク 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・大画面のPCモニター ・PC画面拡大ソフト ・スマホ 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・受けていない 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・訓練は受けていない 苦労したこと: ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・懸命に頑張っても効率が上がらず残業が増えて消耗した ・上司など、職場の人間関係がうまくいかなかった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった 有用だったこと: ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 仕事を溜め込まず早めに周囲に相談する。 直前になると周囲も手助けに困ってしまうため、段取りをしっかり組む。 自分なりのストレス発散方法を見つけ定期的に行う。 本を読んで、いろいろな視点で考え客観視する。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 仕事は挑戦すればするほど自分を追い込みつらくなることもありますが、その経験は必ず未来につながります。焦らず一つずつ課題をクリアしてください。ZoomやChatGPT、AIなどのテクノロジーは急速に進化し、視覚障害者の強い味方です。さらなる技術の進歩を信じ、皆さんが少しでもつらさから解放される日を心から願っています。 事例2 中・四国在住  40代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 10代 疾患名:網膜色素変性症、レーベル視神経症 現在の見え方: 求心性視野狭窄、輪状暗点、夜盲 勤務先の業種: 建設・不動産業 職種: 事務職 具体的作業内容: 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面拡大ソフト 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・その他 休日を利用して在職者研修として吉備リハに通った 苦労したこと: ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・担当業務が音声PCスキルを習得してもできる仕事ではなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった 有用だったこと: ・訓練施設による支援 ・支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 障害の自己開示をきちんとする。挑戦・努力はもちろんするが、出来ないときは無理せずできないと はっきり言う。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 昔より職場の環境はよくなっていると思いますので、一般の会社でも働きやすくなっていると思います。 事例3 首都圏在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 4級 不自由を感じたのは: 40代 疾患名:その他 良性脳腫瘍の視神経圧排 現在の見え方: 中心暗点、その他 中心暗点の中が視野狭窄(一点がはっきり見えるので矯正視力1.0左眼) 勤務先の業種: 建設・不動産業 職種: 事務職 具体的作業内容: 事業内容は全国52店舗で一般ユーザー様を対象にしたリフォーム工事を提案から施工管理まで行っています。全国の店舗を本社で管理、アシストしています。私は本社の営業企画部営業管理グループに所属しています。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 ・遮光眼鏡 ・ルーペ・拡大鏡 ・PC画面による調整(拡大・色反転など) 支援機器: ・拡大読書器 ・大画面のPCモニター ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・自分のやりたい仕事ができなくなった ・上司や同僚に自分の見え方をなかなか理解してもらえなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・その他 休憩時間などに気楽に話せる気心の知れた人がいない。 有用だったこと: ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援、ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・ 支援機器に対する各種助成金、無償貸出制度の利用 ・職場関係者による支援 ・職場産業医による支援 ・家族による支援 ・その他 訓練施設での同じ境遇の方々との情報交換や交流が心のよりどころになった。 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> ミスを減らすためにメモを取り、後で見返せるよう整理しています。自分の見え方を伝えていますが、理解してもらうのは難しいです。ただ、興味を持ってくれる方もいます。以前は無理をして働く営業マンでしたが、今は無理せず正確に業務をこなすことを心掛けています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 普通に見えていたことの大切さや、見えにくくなった自分への喪失感で混乱するのは当然です。タートルに相談できたことは大きな支えです。進む方向を示してくれるでしょう。一人で悩まず、訓練施設などでも情報交換を。同じ境遇の人と出会い、一生の友になることも。無理せず前進し、困ったときは抱え込まずに相談を。 事例4 九州・沖縄在住  50代男性 身体障害者手帳等級: 1級 不自由を感じたのは: 30代 疾患名:その他 業務中の事故による脳挫傷・両眼破裂 現在の見え方: 全盲 勤務先の業種: 建設・不動産業 職種: 事務職 具体的作業内容: 入札・受注案件における建設資機材の価格調査・単価交渉並びに、調達業務。ネット上での契約業務(電子商取引)。 雇用形態:正規社員(職員) テレワークの状況: テレワークなし 視覚補助具: ・白杖 支援機器: ・PC画面読上げソフト(スクリーンリーダー) 人的支援の状況: ・周囲の同僚によるナチュラルサポート ・社外でのイベント、懇親会でのサポート ・その他 PDFファイルの代読、画像情報による職員研修ツールの代理操作 環境上の配慮: ・レイアウトの配慮 勤務時間・通勤の配慮: ・受けていない 訓練受講に際しての配慮: ・休職して訓練を受けた 苦労したこと: ・急速な視機能の低下に、自分の気持ちがついていけなかった ・自分でもどうしたらよいのかわからなかった ・職場のシステムの一部が音声PCではうまく動作しなかった ・その他 視覚障害者の雇用事例がないなど地域的な問題。 有用だったこと: ・眼科医・視能訓練士による助言・支援 ・タートルなど当事者団体による支援 ・訓練施設による支援 ・ジョブコーチなど、障害者職業センターによる支援 ・職場関係者による支援 ・家族による支援 <働き続ける上で、工夫していること、心掛けていること> 時刻や場面に応じた明瞭な挨拶、「お願いします」「ありがとうございました」など丁寧な言葉を心掛けています。曖昧な返事はせず、他人の配慮もムゲに断りません。周囲の笑顔を引き出せるよう明るく振る舞っています。 <後に続く仲間に伝えたいこと> 1. 新しいことに踏み込む 勇気 。 2. 必ず習得するぞ、絶対に負けないぞなどという闘争心。 3. 出来なかったことに背を向けるのではなく、どうして出来なかったのかを前向きに分析して、失敗を経験値にすること。