<ごあいさつ>  日頃より、タートルの活動にご協力、ご支援を賜り、誠にありがとうございます。会員の方々をはじめ、皆様の多大なるご支援のおかげをもちまして、タートルは創立30周年という節目を迎えることができました。  この記念すべき年を機に、相談担当チーフである副理事長 熊懐敬を中心にプロジェクトを立ち上げ、会員の皆様がどのような仕事に就き、いかに業務を遂行されているかを「視覚障害者の就労事例集109」としてまとめました。  視覚障害者は実に千差万別であり、その就労環境も多岐にわたります。社会が変化し、職場もまたそのスピードに合わせて進化していく中で、当事者はそれぞれの方法で視覚的な制約をカバーし、働き続けています。時には困難に直面し、孤立感を感じることもあれば、人々の温かい優しさに救われることもあります。これら一つ一つの経験が、視覚障害者の働く道を切り拓いてきたのだと感じています。  本事例集には、109名の方々の貴重な就労事例が紹介されています。視覚障害当事者の皆様には、仕事の工夫を学ぶ機会となり、困難を乗り越えるヒントや心に響く言葉を見つけていただけることと思います。また、視覚の状態や職場環境が変化した際に読み返していただくことで、新たな視点や気づきを得られる一助となることでしょう。  今後、AIの進化により就労環境の変化はさらに加速していくと予想されます。視覚障害者にとって、AIがどのような影響をもたらし、どのように対応し活用していくかによって、その未来は大きく変わるものと思われます。AI活用格差や情報格差がより顕著になることが懸念される中で、当事者同士がこれまで以上につながり、積極的に情報収集を行い、互いに支え合うことが極めて重要であると考えています。  この事例集には、世の中がどのように変化しても、視覚障害者が自分らしく働き続けていく上で、普遍的な示唆が多く含まれていると確信しております。  企業関係者の皆様をはじめ、医療、福祉、教育関係者、技術者、研究者、そしてご家族の皆様など、多岐にわたる分野で視覚障害者を支援してくださる方々の力もまた不可欠です。本事例集が、支援者の皆様の活動の一助となり、視覚障害者の就労支援における更なる連携強化につながることを心より願っております。そして、この加速度的な変化の時代において、あらゆる視覚障害者が自分らしく生き生きと働ける社会を、皆様と共に実現していきたいと思います。 認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 理事長 神田 信