<スライド1> [タートルICTロゴ] 職場における視覚障害者のICT実態調査2025 アンケート結果分析と課題 認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会 (通称:タートル) 2025年11月 認定NPO法人 視覚障害者の就労を支援する会(タートル) ICTサポートプロジェクト (C)認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 2025. All Rights Reserved. <スライド2> 目次 1.背景 2.今までに実施したアンケート調査 3.職場における視覚障害者のICT環境 4.職場のICTで困っていること 5.まとめ <スライド3> 1背景 [技術の進化と就労環境の変化] ・デジタル化の進展で多くの事務仕事がパソコン上で完結 ・スクリーンリーダーや画面拡大などの支援技術が進化 ・視覚障害があっても訓練を受けることで、多くの職種で就労可能→ 幅広い職種で視覚障害者が活躍している(職域の拡大) [課題] ・雇用主など一般には、上記の状況がほとんど知られていない ・職場のICT環境の進化が早く、アクセシビリティも不十分 ・働く視覚障害者にストレス → 専門的な支援と配慮が必要 タートルICTサポートプロジェクトでは、 視覚障害者の就労におけるICT環境の実態と課題を把握する ため、定期的にアンケート調査を実施し、結果を公表している。 <スライド4> 2今までに実施したアンケート調査 @ 視覚障害者の就労におけるICT環境実態調査(2020年12月) ・ICT環境の実態と困りごとを調査 ・回答者の84.6%が職場のICT環境で困っていることがあると回答 A スクリーンリーダー・拡大機能利用のWindowsPC環境実態調査 (2021年11月 ・視覚支援機能を使用しているPCのスペックと快適度を調査 B視覚障害者の就労におけるICT支援状況調査(2023年17月) ・視覚障害者が就労におけるICTの課題解決のためどのような支援を受けているかを調査。 ・ジョブコーチなど専門的な支援が不足、地域差も大きい C職場における視覚障害者のICT実態調査2025(2025年4月) ↓ 本資料で報告 ICTポータルサイト 調査報告のページ: https://www.turtle.gr.jp/ict/activity-2/research-report/ [調査報告のページのQRコード] <スライド5> 3職場における視覚障害者のICT環境 ・アンケート調査の目的:  視覚障害者の就労環境におけるICTの実態と課題を把握する。 ・実施期間: 2025年4月 ・総回答数: 74件 ・回答者の状況: 表1 職種(複数回答あり) 職種 人数 % 事務系 37 50% 技術系 20 27% 教員 3 4% 営業・販売・サービス 6 8% 理療系 8 11% 専門職 10 14% その他 4 5% 無職 1 1% 注: %は、回答総数74人に対する% 図1 見え方 図1の円グラフの説明 目では全く読めない  30人 41% 補助具(拡大読書器やルーペなど)を用いれば数文字ずつなら読めるが、文章を読むのは難しい。 17人 23% 補助具(拡大読書器やルーペなど)を用いれば文章として目で読める 22人 30% 補助具なしで目で読める 5人 7% <スライド6> (1) 勤務スタイル プロジェクト立ち上げ時は在宅勤務から取り残される視覚障害者が多かったが、現在は、事務系、技術系を中心に、約半数が在宅勤務を活用している。 図2 勤務スタイル 図2の円グラフの説明 基本的に出社している 36人 49% 出社と在宅勤務を併用している 20人 27% 基本的に在宅勤務である 17人 23% その他 1人 1% 図3 職種別勤務スタイル 図3の職種別勤務スタイル横棒グラフの説明 (事務系 ) 基本的に出社している 49% 出社と在宅勤務を併用している 29% 基本的に在宅勤務である 23% その他 0 0% 合計 35 100% (技術系 ) 基本的に出社している 26% 出社と在宅勤務を併用している 32% 基本的に在宅勤務である 42% その他 0% (教員) 基本的に出社している 67% 出社と在宅勤務を併用している 33% 基本的に在宅勤務である 0% その他 0% (営業・販売・サービス) 基本的に出社している 33% 出社と在宅勤務を併用している 33% 基本的に在宅勤務である 33% その他 0% (理療系) 基本的に出社している 71% 出社と在宅勤務を併用している 14% 基本的に在宅勤務である 14% その他 0% (専門職) 基本的に出社している 75% 出社と在宅勤務を併用している 25% 基本的に在宅勤務である 0% その他 0% <スライド7> (2) 職場で使用しているICT機器 ほとんどの視覚障害者がWindowsパソコン(95%)を使用。 iPhone(47%)、iPad(18%)の職場での利用も増加。 表2 職場で使用しているICT機器 (視覚支援機能を使用しているもの) ICT機器 件数 % Windowsパソコン 70 95% Mac 2 3% iPhone 35 47% iPad 13 18% Androidスマートフォン 6 8% Androidタブレット 2 3% 視覚支援機能を使っているものはない 1 1% 点字情報端末 1 1% %は、回答総数74人に対する% グラフ 職場で使用しているICT機器 の表の横に機器ごとの件数を示す横棒グラフが表示されている。 <スライド8> (3) 使用している視覚支援機能や補助具 ・使用している視覚支援機能は、スクリーンリーダー(82%)が多い。 ・全盲の方の約半数が点字ディスプレイを使用している。 ・弱視の方は、PC等の画面拡大/調整、拡大読書器を併用している方が多い。 表3 使用している覚支援機能や補助具 (a) 全体 視覚支援機能 件数 % スクリーンリーダー 61 82% PCやスマホの画面拡大・画面調整 38 51% 拡大読書器 21 28% 点字ディスプレイ 15 20% 0 0% 特に使用していない 2 3% その他 1 1% (b)全盲 視覚支援機能 件数 % スクリーンリーダー 29 97% PCやスマホの画面拡大・画面調整 0 0% 拡大読書器 0 0% 点字ディスプレイ 14 47% 点字プリンター 3 10% 特に使用していない 0 0% その他 0 0% (c) 弱視 スクリーンリーダー 17 77% PCやスマホの画面拡大・画面調整 19 86% 拡大読書器 14 64% 点字ディスプレイ 1 5% 点字プリンター 0 0% 特に使用していない 0 0% その他 0 0%   a) 全体: 74人:     b) 全盲(目では全く読めない): 30人     c) 弱視(補助具を用いれば数文字ずつ読める + 補助具を用いれば文章として読める): 39人 ※%は、各々の回答総数に対する% <スライド8> 【参考】 スクリーンリーダーの種類とスマホの視覚支援機能 ・パソコンのスクリーンリーダーは、pC-Talkerが最も多い(57%).。 ・職場でもNVDAのシェアが増加してきている(41%)。 ・スマホ・タブレットでは、VoiceOverやTalkbackなどのスクリーンリーダーが51%、他に画面読み上げ機能(20%)などの音声機能が使われている。 ・弱視の方は、スマホ・タブレットにおいても画面調整などの視覚支援機能を利用。 <スライド9> 【参考】 スクリーンリーダーの種類とスマホの視覚支援機能 ・パソコンのスクリーンリーダーは、PC-Talkerが最も多い(57%).。 ・職場でもNVDAのシェアが増加してきている(41%)。 ・スマホ・タブレットでは、VoiceOverやTalkbackなどのスクリーンリーダーが51%、他に画面読み上げ機能(20%)などの音声機能が使われている。 ・弱視の方は、スマホ・タブレットにおいても画面調整などの視覚支援機能を利用。 表4 使用しているスクリーンリーダー (パソコン) 種類 件数 % PC-Talker 42 57% NVDA 30 41% JAWS 9 12% ナレーター 22 30% VoiceOver 2 3% ブラウザ読み上げ機能 2 3% スクリーンリーダーは使用していない 10 14% 注: %は、回答総数74人に対する% 表5 使用している視覚支援機能 (スマホ・タブレット) 種類 件数 % VoiceOverまたはTalkbackを使用している 38 51% 画面読み上げ機能を使用している 15 20% 画面調整(色反転。文字拡大)を使用している 24 32% アクセシビリティ機能は使っていない 10 14% ホワイトポイントを下げる 1 1% 職場ではスマホとタブレットは使用していない 12 16% 注: %は、回答総数74人に対する% <スライド10> 4 職場のICTで困っていること 職場で使用しているグループウエアや業務アプリなどの社内システム、アクセシビリティに配慮されていないPDFや画像データの把握に苦労している視覚障害者が多い。 図1 職場で困っている項目(回答者数74人:複数回答) グループウェアや業務システムなどの社内システムについて 39 53% OfficeアプリやGoogleアプリについて 21 28% 上記以外のアプリについて 12 16% PDFの扱いについて(中に含まれている画像、表、段組みの把握など) 44 59% 各種画像データの扱いについて 42 57% リモート環境について 10 14% セキュリティによる影響について 21 28% 特になし 9 12% その他 2 3% 注:%は、回答総数74人に対する% <スライド11> 【参考】 職場で困っていることの具体例 @ グループウェアや業務システムなどの社内システムについて 勤怠管理、出張・休暇申請、業務支援システム、SharePointなどがスクリーンリーダー 非対応で使えない。 A OfficeアプリやGoogleアプリについて Google Workspace、Classroom、MsTeams、サイボウズなどで操作が難しい、情報取得が困難。 B 上記以外のアプリについて Visual StudioやAdobe製品などで文字が小さく拡大しても見えにくい。 アプリごとに操作方法が異なり、毎回使い方を覚え直す必要がある。 C PDFの扱いについて(中に含まれている画像、表、段組みの把握など) スキャンPDF、画像形式の図や表、PowerPointのPDFなどがスクリーンリーダーで読めず理解できない。 WindowsナレーターがPDFを読めない。 D 各種画像データの扱いについて eラーニングや社内教育の教材が音声読み上げに対応しておらず、内容を把握できない。 コピー機や電子錠などがタッチパネル前提で音声読み上げがなく、自力での操作が困難。 E セキュリティによる影響について PC-Talkerのアップデートが制限される。 <スライド12> 5まとめ 1.デジタル化の進展と視覚障害者の就労環境の変化 デジタル化で視覚障害者の職域は広がっているが、こうした環境に対応するため スクリーンリーダーなど支援機能を使ったパソコン操作などの訓練と支援が不可欠。 2.職場のICT環境と活用している支援機器等の状況 ・視覚障害者においても在宅勤務の活用が定着。 ・Windowsパソコンに加えて業務によるスマホ/タブレットの活用も増えている。 ・スクリーンリーダーに加えて、PCの画面拡大/調整や拡大読書器(弱視の方)、  点字ディスプレイ(全盲の方)も活用されている。 3.職場の業務アプリやデータのアクセシビリティの課題 職場の業務アプリやデータにはスクリーンリーダーで対応できないものも多い。視覚障害者の就労実態の周知と、こうしたアプリやデータのアクセシビリティ向上の施策が重要。 4.今後の課題 アンケート結果を含め視覚障害者の就労実態を雇用主を含めた一般へ広く知っていただくことで、視覚障害者の就労環境の改善と雇用拡大につなげていく必要がある。 <スライド13> END 視覚に障害があっても、当たり前に働けるICT環境を それが、私たちの目指すもの! タートルICTサポートプロジェクトキャッチフレーズ 認定NPO法人視覚障害者の就労を支援する会(タートル) 電話: 03-3351-3208 タートルホームページ: https://www.turtle.gr.jp/ ICTポータルサイト: https://www.turtle.gr.jp/ict/ [タートルホームページのQR コード] [タートルICTポータルサイトURLのQRコード]